●今週のあらすじ
ドリームトーナメント1回戦第2試合、四国アイアンドッグス対阪神タイガース、0対0のまま2回の裏、タイガースの攻撃を迎える。

4番力道玄馬に対し、不知火の1球目は、おそらくストレート。
3塁線へわずかに切れてファール。
飛びついたサード、マドンナが捕球していたら指を骨折したかもと恐れるほどの威力があった。
2球目は、不知火の速球に押されたのか、一塁側スタンド?へのファール。
そして3球目、不知火は超遅球を選択。力道はまったくタイミングが合わず三振。

5番小野田信長が打席に入ると、客席からリリーフも期待する声がかかる。
よかった、投手という設定は残っているようだ。
小野田の初球攻撃は、センターオーバーのツーベースヒット。
となりそうだったが、あらかじめ深めに守っていた犬神の好守備に阻まれ、センターフライとなった。

6番雪村花虎は、デカッ鼻を活かした超人的な特技を持つ。
投手がリリースする時の指と糸が離れる時の匂いで球種を特定できる。
見事不知火のカーブを読み切り強打したものの、セカンドライナーに倒れた。

●骨折させる打球
力道の1球目は怪力ぶりをまざまざと見せつけてくれた。
水島作品で打球で骨折させた選手といえば、「光の小次郎」に登場した泉岳又八くらいではなかったかな。

博多パイレーツの秘密兵器として登場した又八は、全打席執拗に「シベリアおろし」と呼ばれる強烈なピッチャー返しで新田小次郎を狙った。
3打席目は遂に小次郎の顔面を直撃したかと思われたが、小次郎はかろうじてキャッチ。
その代償として、小次郎は右手の人差し指、中指、薬指を3本とも亀裂骨折されられた。

骨折を隠して続投する小次郎は、又八と4度目の対決を迎える。
又八はまたしてもシベリアおろしで小次郎を襲う。
骨折した右手でこの打球を捕れるのか?
ここで小次郎は驚異的なプレイを見せた。
「光の小次郎」の中でも屈指の名場面なので、まだ読んだことのない水島ファンはぜひ又八と小次郎の対決を見てほしい。(「光の小次郎」14巻)



●殿馬を凌ぐ雪村の特技
投球した時の指離れの匂いで球種を見破る雪村の特技は、あらゆる野球漫画を探してもどこにもいないだろう。

本当に匂いをかぎ分けられるとしても、その匂いが打席に届くころにはボールはとっくにキャッチャーミットに収まっていそうなものだ。
雪村の嗅覚と反射神経は超人的だ。
雲竜から「雪ちゃん」と呼ばれていた愛くるしい東海高校時代はこんな特技はなかったはず。
当時からこの才能が開花していれば、明訓はもっと苦しめられていたに違いない。

鼻が利くといえば、「大甲子園」9巻で光高校対南波高校をテレビで観戦していた里中が、「荒木気をつけろ どうもこの打席スクイズがにおうぜよ」と南波のスクイズを見破ったエピソードくらいしか思い出せない。

ちなみに、鼻と目の違いはあるが、殿馬も球種を見破る特技を持っている。
殿馬らが高校三年生のとき、甲子園大会3回戦で明訓は真田一球率いる巨人学園と対戦した。
殿馬は第1打席、マウンドの一球が投球モーションに入ったとき、「おっ あの筋肉の動き ストレートの握りづら」と球種を見破った。(「大甲子園」13巻)
殿馬の視力は両目とも2.5。(無印「ドカベン」35巻より)
目は良いといっても、筋肉の動きだけで球種が見破れるのは驚異的だ。


そんな殿馬の目より雪村の鼻の方がはるかにすごいと思う。
次の打席も期待してるぞ。

●来週以降の予想
ここまで実にいい展開だ。
タイガースのキャラは個性が際立っているし、藤村甲子園と不知火守の両投手の好投も見ごたえある。

3回の表、ドッグスの攻撃は、7番犬神、8番丸亀、9番不知火。下位打線ながらいずれも好打が期待できる。
特に、不知火が打席に立つところがワクワクする。
甲子園から初ヒットを奪うのは、不知火のホームランかもしれない。
でも、一発が出るにしても試合の終盤かな。
この試合も半年くらいかけて、じっくりじっくり描いてほしい。