物事に挫折しそうになったとき、いつも思い出す言葉がある。

「明日からがんばるんじゃない……
今日だけ……
今日だけがんばるんだっ……

今日をがんばった者
今日をがんばり始めた者にのみ……
明日が来るんだよ……!」


これは福本伸行先生のコミック「賭博破壊録カイジ」1巻の一節。
カイジシリーズ第2弾の序盤のシーンだ。


借金を抱えたせいで、ある場所で過酷な労働を強いられる主人公カイジ。
初めての給料日、わずかな金を手にする。
借金返済のため、数か月間一銭も使わずに過ごそうと執念に満ちた決意するカイジの前に、職場の先輩、大槻が現れる。

大槻からプレゼントされたビールを飲んだカイジは、もう1杯飲みたい衝動に駆られる。
しばし葛藤するも誘惑に負け、自分へのご褒美と称し高額なビールやつまみに次々買い込んでしまう。
その翌日も我慢しきれず、同じことを繰り返しては散財を後悔する。
そんな意志の弱いカイジを遠くでほくそえみながらつぶやいたのが冒頭のセリフだ。

大槻は、カイジに浪費させることでゆくゆくは自分から給料の前借をさせ、その利子で小遣いを稼ごうという魂胆だったのだ。
カイジはまんまと大槻の策にハマったわけだ。

カイジの意志の弱さは自分にも通じるところがある。
大槻は、表面上は穏やかだが、腹の底は実に狡猾で他人を食い物にしようとする悪党。
そんな憎き大槻のセリフだが、「今日だけがんばるんだっ」という考え方は実にいい言葉だと思う。

勉強、習い事、ダイエット。
がんばらなきゃいけないのに、くじけそうになることはよくある。
そんなとき、「今日だけがんばった者に明日は来る」という言葉は気持ちを奮い立たせてくれる。

今日もちょっとだけがんばった。
いい明日を迎えられそうだ。