●新田小次郎vs山田太郎、決着!
6対6で迎えた9回の裏、二死満塁で一打サヨナラの場面。
新潟ドルフィンズの投手新田小次郎は、東京スーパースターズの主砲山田太郎をツーストライクに追い込み、勝負の3球目を投じたところから今週号はスタート。
光る球に神頼みしながらスイングした山田のバットはかろうじてボールにかすり、ファールとなる。
これにより小次郎は追い詰められた。
肩の調子から全力投球できる限界の10球を投げ切ったからだ。
しかし、ドルフィンズ岩田鉄五郎監督は動かず、絶体絶命の場面を小次郎に託す。
この緊迫したシーンで、水島名物見開きの連続、人呼んで「紙芝居」が炸裂。今回は4連続だった。
小次郎は渾身の11球目を投じる。
またしても光る球。
165キロのボールに山田のバットは空を切った。
「光の小次郎」と「ドカベン」の主人公対決は、山田の空振り三振に終わり、小次郎に軍配が上がった。
●球速に物申す
「ドリームトーナメント編」で最初に登場した他作品のキャラが「光の小次郎」の主人公新田小次郎だった。
あの作品は架空のプロ野球リーグが舞台だったので、ドカベンに小次郎が登場し、コラボが実現した時の衝撃は忘れられない。
小次郎は、肩を壊していた設定になっていて、初登場時は140キロが精一杯だった。
その小次郎がこうして山田と対峙し、150キロどころか160キロを超える球を甦らせた。実に感慨深い。
おめでとう、新田小次郎。
ところで、小次郎が最後に投じたのは165キロだったが、このスピードはできれば見たくなかった。その理由は二つある。
これまで水島野球漫画での最高速の球は、藤村甲子園の165キロだった(「大甲子園」5巻参照)。
ストレートしか投げない剛球王甲子園が残した記録を超えてほしくはなかった。
こうなると下剋上。中西球道や不知火守が165キロを超える日が来るかもしれない。
さらに望むのは、記録保持者藤村甲子園の復活、記録の更新だ。
もう一つの理由は、そもそも光る球は原作ではスピードガンで計測できなかったボールだったのだ。(「光の小次郎」19巻参照)
光る球の球速は原作どおり謎のままにしておいてほしかった。
●神頼みに物申す
話は変わるが、この対決で山田、小次郎とも神頼みをする場面があった。
これは勝負師としてはいかがなものか。
福本伸行著「賭博黙示録カイジ」では、主人公カイジがある人物とくじ引き対決をしたことがあった。
ティッシュの空箱に大量のくじを入れ、二人が交互にくじを引き、たった一つの当たりを引いた方が勝ちという極めてシンプルな対決を。
そのバカバカしいほど単純な勝負に1億円を賭けていた。しかもカイジは、金の代わりに指を4本賭けていたのだ。
自らの策が不発に終わったカイジは、神頼みをした。
しかし、真剣勝負の場で神頼みすることがいかに愚かなことかをカイジは身をもって知ることになった。
山田と小次郎には、勝負師として一度この作品を読んでみることをお勧めする。

●限界突破な男達
話をドカベンに戻そう。
今回の目玉はなんといっても限界突破した新田小次郎だ。ドルフィンズが勝利したのならMVPは小次郎に捧げたい。
そんな小次郎のように、使用回数が限られていたにもかかわらず、それを超えて果敢に勝負に挑んだ男達を振り返ってみよう。
1. 豊臣(無印「ドカベン」44巻)
千葉県代表中山畜産高校の豊臣は、県大会で利き腕の右肩を怪我をした。
関東大会の明訓戦ではスタメンを外れたが、代打に起用された。医者からはひと振りだけチャンスを与えられていたのだ。
初球インコースを絶叫しながら打った豊臣。レフトスタンドへ飛んで行った。飛距離は十分ながらわずかに切れてファールとなった。
中山畜産の中山監督は、豊臣に代打を出そうとするが、豊臣の気迫を感じ代打を断念し激を飛ばす。
そして2球目、壊れた肩で豊臣はフルスイングしたが……。

2. 土門剛介(「ドカベン プロ野球編」23巻、24巻)
1998年10月18日、西武ライオンズ対横浜ベイスターズの日本シリーズ第1戦。
横浜の先発土門は、新球カミソリシュートで山田に挑む。
打者の手前でするどく曲がるシュートは、肩や手首の負担が大きく、一試合に5球が限界だった。2対3と横浜がリードした9回の表、西武は二死一塁で4番山田を迎える。
山田に対し通算5球目のカミソリシュートで決めに行った土門だが、山田はかろうじてファールにする。
土門はキャッチャー谷繁のサインに首を振り、6球目のカミソリシュートを投げるが……。

●次週のポイントはリリーフ
次号から延長戦に突入するが、スーパースターズは里中に代打を出したので、当然投手が代わる。
誰が登場するかあれこれ予想してみよう。
「ドリームトーナメント編」が他作品のキャラが打倒山田を目指すコンセプトなら、スーパースターズに未登場の他作品のキャラが出てくると軸がぶれる。
これまで登場していない選手なら、明訓の後輩渚圭一がリリーフするのではないかと思う。
土井垣に見いだされたオーバースローと土井垣に見限られた反発で密かに磨き上げたアンダースローを武器に上下投法を駆使するなんてどうだろう。
中学時代からのライバル小林真司はどうか。
どうせなら他のチームのライバルとして登場してほしい。
トーナメントの優勝チームはアメリカのNo.1チームと対戦することになっているので、アメリカ留学の経験のある小林はアメリカチームのエースとして出てくると思う。
「ダントツ」の荒木新太郎はどうか。
三郎丸三郎、浪花大二郎が出てきたのだから、荒木が登場しないわけがない。
でもスーパースターズに入ると、両投げのわびすけや顔が瓜二つの里中がいるので、個性が埋もれそうだ。
三郎丸が解説しているこの試合で登板するのがベストのタイミングなので、ドルフィンズのリリーフではないかと思う。

意外と肩が治っていたとかで長島が投げたりして。
はてさてどうなるか、来週も楽しみだ。
6対6で迎えた9回の裏、二死満塁で一打サヨナラの場面。
新潟ドルフィンズの投手新田小次郎は、東京スーパースターズの主砲山田太郎をツーストライクに追い込み、勝負の3球目を投じたところから今週号はスタート。
光る球に神頼みしながらスイングした山田のバットはかろうじてボールにかすり、ファールとなる。
これにより小次郎は追い詰められた。
肩の調子から全力投球できる限界の10球を投げ切ったからだ。
しかし、ドルフィンズ岩田鉄五郎監督は動かず、絶体絶命の場面を小次郎に託す。
この緊迫したシーンで、水島名物見開きの連続、人呼んで「紙芝居」が炸裂。今回は4連続だった。
小次郎は渾身の11球目を投じる。
またしても光る球。
165キロのボールに山田のバットは空を切った。
「光の小次郎」と「ドカベン」の主人公対決は、山田の空振り三振に終わり、小次郎に軍配が上がった。
●球速に物申す
「ドリームトーナメント編」で最初に登場した他作品のキャラが「光の小次郎」の主人公新田小次郎だった。
あの作品は架空のプロ野球リーグが舞台だったので、ドカベンに小次郎が登場し、コラボが実現した時の衝撃は忘れられない。
小次郎は、肩を壊していた設定になっていて、初登場時は140キロが精一杯だった。
その小次郎がこうして山田と対峙し、150キロどころか160キロを超える球を甦らせた。実に感慨深い。
おめでとう、新田小次郎。
ところで、小次郎が最後に投じたのは165キロだったが、このスピードはできれば見たくなかった。その理由は二つある。
これまで水島野球漫画での最高速の球は、藤村甲子園の165キロだった(「大甲子園」5巻参照)。
ストレートしか投げない剛球王甲子園が残した記録を超えてほしくはなかった。
こうなると下剋上。中西球道や不知火守が165キロを超える日が来るかもしれない。
さらに望むのは、記録保持者藤村甲子園の復活、記録の更新だ。
もう一つの理由は、そもそも光る球は原作ではスピードガンで計測できなかったボールだったのだ。(「光の小次郎」19巻参照)
光る球の球速は原作どおり謎のままにしておいてほしかった。
●神頼みに物申す
話は変わるが、この対決で山田、小次郎とも神頼みをする場面があった。
これは勝負師としてはいかがなものか。
福本伸行著「賭博黙示録カイジ」では、主人公カイジがある人物とくじ引き対決をしたことがあった。
ティッシュの空箱に大量のくじを入れ、二人が交互にくじを引き、たった一つの当たりを引いた方が勝ちという極めてシンプルな対決を。
そのバカバカしいほど単純な勝負に1億円を賭けていた。しかもカイジは、金の代わりに指を4本賭けていたのだ。
自らの策が不発に終わったカイジは、神頼みをした。
しかし、真剣勝負の場で神頼みすることがいかに愚かなことかをカイジは身をもって知ることになった。
山田と小次郎には、勝負師として一度この作品を読んでみることをお勧めする。

●限界突破な男達
話をドカベンに戻そう。
今回の目玉はなんといっても限界突破した新田小次郎だ。ドルフィンズが勝利したのならMVPは小次郎に捧げたい。
そんな小次郎のように、使用回数が限られていたにもかかわらず、それを超えて果敢に勝負に挑んだ男達を振り返ってみよう。
1. 豊臣(無印「ドカベン」44巻)
千葉県代表中山畜産高校の豊臣は、県大会で利き腕の右肩を怪我をした。
関東大会の明訓戦ではスタメンを外れたが、代打に起用された。医者からはひと振りだけチャンスを与えられていたのだ。
初球インコースを絶叫しながら打った豊臣。レフトスタンドへ飛んで行った。飛距離は十分ながらわずかに切れてファールとなった。
中山畜産の中山監督は、豊臣に代打を出そうとするが、豊臣の気迫を感じ代打を断念し激を飛ばす。
そして2球目、壊れた肩で豊臣はフルスイングしたが……。

2. 土門剛介(「ドカベン プロ野球編」23巻、24巻)
1998年10月18日、西武ライオンズ対横浜ベイスターズの日本シリーズ第1戦。
横浜の先発土門は、新球カミソリシュートで山田に挑む。
打者の手前でするどく曲がるシュートは、肩や手首の負担が大きく、一試合に5球が限界だった。2対3と横浜がリードした9回の表、西武は二死一塁で4番山田を迎える。
山田に対し通算5球目のカミソリシュートで決めに行った土門だが、山田はかろうじてファールにする。
土門はキャッチャー谷繁のサインに首を振り、6球目のカミソリシュートを投げるが……。

●次週のポイントはリリーフ
次号から延長戦に突入するが、スーパースターズは里中に代打を出したので、当然投手が代わる。
誰が登場するかあれこれ予想してみよう。
「ドリームトーナメント編」が他作品のキャラが打倒山田を目指すコンセプトなら、スーパースターズに未登場の他作品のキャラが出てくると軸がぶれる。
これまで登場していない選手なら、明訓の後輩渚圭一がリリーフするのではないかと思う。
土井垣に見いだされたオーバースローと土井垣に見限られた反発で密かに磨き上げたアンダースローを武器に上下投法を駆使するなんてどうだろう。
中学時代からのライバル小林真司はどうか。
どうせなら他のチームのライバルとして登場してほしい。
トーナメントの優勝チームはアメリカのNo.1チームと対戦することになっているので、アメリカ留学の経験のある小林はアメリカチームのエースとして出てくると思う。
「ダントツ」の荒木新太郎はどうか。
三郎丸三郎、浪花大二郎が出てきたのだから、荒木が登場しないわけがない。
でもスーパースターズに入ると、両投げのわびすけや顔が瓜二つの里中がいるので、個性が埋もれそうだ。
三郎丸が解説しているこの試合で登板するのがベストのタイミングなので、ドルフィンズのリリーフではないかと思う。

意外と肩が治っていたとかで長島が投げたりして。
はてさてどうなるか、来週も楽しみだ。