2001年6月11日(土)、東日本大震災から3ヶ月が経過した。
東京ドームでは17時55分頃、黙祷が捧げられた。
氷室京介を待つざわめきは静寂に変わった。
予定時刻より遅れて18時15分頃、氷室がステージに現れた。
「HELLO、東京ドーム。今夜はお前らが主役だぜ」
BOOWYが解散し初の試みとなる全曲BOOWYのライブが遂に幕を開ける。
1曲目はまさかの「DREAMIN'」
BOOWYでは本編の後半やアンコールで演ることが多かったこの曲がいきなり来た。
スペシャルなライブだと強烈な意思表示だ。
DAITAの手元がアップで映し出され、その奥に氷室の姿が見える。
CASE OF BOOWYにもこんなアングルがあったような。
3曲目の「BLUE VACATION」では青、緑、赤の三色にゆらゆら揺れる残像のような氷室が映し出される。
これもCASE OF BOOWYで見たような。
演出面もBOOWYを彷彿とさせる。
「BABY ACTION」はアウトロのフレーズがイントロ並みのテンポだった。
「“16”」では「明後日へ心~」の歌い回しがオリジナルと少し違った。
「ホンキー・トンキー・クレイジー」では「I JUST FALLIN'…」がなく「HONKY TONKY…」に変わっていた。
楽曲の方は、最新の氷室流のアレンジを加えてきている。
「JUSTY」では「俺に届かせろ」と左耳に手を当てる。
「LONGER THAN FOREVER」では最後のサビで客にマイクを向ける。
氷室は最初に言ったセリフを態度で表してきた。
「WELCOME TO THE TWILIGHT」ではスクリーンがセピア色に染まった。
「B.BLUE」は「ON THE WING WITH~」がないCDのようなイントロだった。
LAST GIGSや21st Century Boowy vs Himuroでオープニングを飾った曲。
これが1曲目に来ると予想したファンも多かったのではないだろうか。
イントロが流れたとき、改めてBOOWYを聴いている実感がした。
同時に、あの地震がなかったら今日のライブが行われていなかったのだろうとも思った。
無心で楽しめばよかったのかもしれないが、やはりこのライブの意味は重い。
たまらなくて涙が溢れてきた。
節電のためド派手な照明を控えたせいか、氷室がライトスタンドへ来たのは「DOWN TOWN SHUFFLE」、レフトスタンドへ来たのはアンコールの時だけ。
ほとんどはバックスクリーン前のステージ中央にいた。
「BAD FEELING」や「BEAT SWEET」のギターはやはり布袋寅泰とはどこか違う。
「CLOUDY HEART」や「わがままジュリエット」は氷室自身がカバーしているので、当然演るものだと思ったが、外された。
松井常松作詞の「WORKING MAN」や高橋まこと作詞の「DRAMATIC? DRASTIC!」も外されていた。
振り返ってみると、全曲BOOWYとしながらもいくつか違和感があったのは否めない。
この日の氷室はとにかく寡黙だった。
「PLASTIC BOMB」で「東京 FUCKIN' BABY、楽しんでるかい」と言った他は本編中はMCがなかった。
アンコールの最後の曲の前にようやく口を開いた氷室はこんなことを語った。
「震災があって、ツアー後に元々用意してたドームライブでBOOWYの曲を聴いてもらおうと思った。
このライブをするに当たり、自分で自分のバンドをコピーすること、オリジナルのメンバーに敬意を表することに複雑な思いがあった。
この曲でひとつになりたい。
ここからポジティブなウエーブが広がっていけばいいなと思います。
7月にはここで友達がやるそうです。
最後に当時一番大切にしていた曲をやります」
氷室は多くを語らなかった。
もっと氷室の言葉を聴きたかった。
「主役はお前ら」の言葉の裏には「これからはお前らが自分で考えて行動しろよ」と言っているような気がした。
氷室京介 東日本大震災復興支援チャリティライブ
KYOSUKE HIMURO GIG at TOKYO DOME “We Are Down But Never Give Up!!”
2011年6月11日(土)18:15~20:15セットリスト
1. DREAMIN'
2. RUNAWAY TRAIN
3. BLUE VACATION
4. ROUGE OF GRAY
5. ハイウェイに乗る前に
6. BABY ACTION
7. JUSTY
8. WELCOME TO THE TWILIGHT
9. BAD FELLING
10. “16”
11. LONGER THAN FOREVER
12. MEMORY
13. B・E・L・I・E・V・E
14. 季節が君だけを変える
15. B.BLUE
16. MARIONETTE
17. PLASTIC BOMB
18. DOWN TOWN SHUFFLE
19. BEAT SWEET
20. RENDEZ-VOUS
21. ONLY YOU
22. IMAGE DOWN
en1. ON MY BEAT
en2. ホンキー・トンキー・クレイジー
en3. NO.NEW YORK
その後「IF YOU WANT」のPVが流れたが、終わる頃には帰路につく客が目立つ。
ダブルアンコールが起こることもなく、終了のアナウンスが流れた。
最後にスクリーンに映し出されたメッセージはこうだった。
Thank you All Supporters
We Are Down But Never Give Up