十一日の月をみて、「もうさようなら、サンタマリア。」と斯う言った。


「おや、何だって?さよならだ?」月が俄かに象に聞く。


「ええ、さよならです。サンタマリア。」


「何だい、なりばかり大きくて、からっきし意気地のないやつだなあ、仲間に手紙でも書いたらいいや。」月がわらって斯う言った。


=中略=



六連発のピストルさ。ドーン、グララアガア、ドーン、グララアガア、ドーン、グララアガア、ところが、弾丸は通らない。牙にあたればはねかえる。一ぴきなぞは斯う言った。
「なかなかこいつはうるさいねえ。ぱちぱち顔へあたるんだ。」



宮沢賢治『オツベルと象』より



新月の時にしたお願いが、叶ったならば、お月様に御礼を言いましょう。


曇り空で見えません。