下ネタじゃないからね。

お正月、引っ越し先に母がやってきた。齢70になる母は足を軽くひきずりながらやってきた。

膝を悪くしてから歩き方がおかしくなったがそれでも毎日一時間以上歩いているという。

わが母ながら頭が下がる。

引っ越したばかりの部屋なので食事は外でとることに。

ここでもとんかつをペロリと平らげた。

家に戻りデザートにと買っておいたケーキを食べながら、自然昔の話になる。


お芝居で一度、僕は母乳で育ってないのだとこぼす男のセリフを書いた事がある。

実際にそれは以前舞台に出てもらった役者さんがそのことが自分の人生に強烈に影響していると言っていた言葉がおかしく使わせてもらった言葉だった。

驚いた。

何と私も母乳で育ってないという。

母の体調の影響なのだが

粉ミルクマンなのだ!

かなり弱そうである


木洩れ日あたる部屋で小さくアイデンティティが揺らいだ。


そんなの関係ないよーと彼の事を笑ってたが、自分がそうとなると、何故かどうしようもなく駄目な自分はそこにあるのではないかと思ってしまう。

電車なんか乗ると、この人は母乳だなぁ~なんて根拠のない推察をしてしまう。

母の前ではなんてことないぜって顔してたが、少々やはり刺さる何かがある。

いつも病気がちで、粉ミルクが不味くちっとも飲まない私に何とか飲ませようと努力したと涙ながらに語る母の身体から何故だか蜜の匂いがした。

世が世なら既に無くしているほどのか細い命。


いっぱつ燃やしてやろうと思った正月でした。