母親が私の容姿を貶すようになった正確な時期は覚えていない。
ただ、物心ついた頃には、すでに容姿を貶されることが当たり前になっていた。
保育所に通っているくらいの頃には、私はもう
「自分の顔は不細工なんだ」
と認識していた。
母親は必ず、嘲笑うように私の容姿を貶した。
特に記憶に残っているのは、関東で誘拐事件が連続して起きていた時期のことだ。
新聞やテレビでその報道が盛んにされていた時期に、母親は嘲笑いながら私にこう言った。
『誘拐されてる女の子はみんな可愛い子ばっかりや、あんたは可愛くないから誘拐もされへんわ』
私は気にしてないふりをして笑っていた。
でも、本当はすごくすごく悲しかった。
ただ、その気持ちを表に出さないように装うことを、その頃の私は既に習得していた。
新聞に載っている被害者の女の子たちの顔写真を見ては、
私もこの子たちみたいに顔が可愛かったら…母親は私を可愛がってくれたんだろうか、怒ったり殴ったりしないで優しくしてくれたんだろうか、
と何度も何度も妄想していたのを覚えている。

