こんにちは。大阪南船場のお節介税理士@野口たかしです。
去年7月に退職して、あっという間の1年。月日が経つのは早いですね💦
また、昨日は、国税の人事異動の予告日でありました。
私と同勤した後輩の多くが、署長にご栄進!
インボイス制度や電子帳簿保存法の改正など、税務行政も複雑化してきていますが、頑張って欲しいと思っております。
さて、先日、国税庁で、令和3年分の所得税等の確定申告状況について記者発表がありました。
それを見ると、今回初めて、相談会場よりも、自宅からe-Taxで申告書を提出した人が上回ったとのこと!
私が国税庁勤務時代に目指したことが、ようやく実現した感があります。落涙・・。
ということで、今回は、税務署に設置している「作成コーナー」の開発秘話です。
申告書自動作成機「タッチパネル」が主流だった時代
「作成コーナー」は、自宅から確定申告書を作成していただくことを普及させるために開発したシステム。
しかし、当時はまだまだ、署に来られて申告する人がめちゃくちゃ多かったです。
相談会場には、申告書作成指導の効率化を図るため、確定申告書自動作成機、いわゆる「タッチパネル」が配備されていました。
「タッチパネル」は、その名のとおり、今のスマホのように、画面にタッチして数値を入力することで、確定申告書が自動で作成できるというシステムです。
平成10年分から導入され、アルバイトを入力補助者にして、主に還付申告者を対象に申告書を作成。
職員も、このシステムには随分助けられたと思います。
↑ 当時の国税庁の記事
タッチパネルの呪縛・・・
タッチパネル、とても便利!納税者からも評判が良かった。
しかし、私は、このままではイケないと思っていました。というのは・・・、
・ 入力できるのは、基本的に数字のみ。⇒補完記入が必要
・ 当時、タッチパネルのディスプレイが非常に高価だった。
・ 申告書は、ドットプリンターで印字。レイザープリンターが主流となった中で、ドットプリンターも高価に。
・ 納税者が、そのセットを買うことはできない。買えたとしても非常に高価
⇒ 毎年、税務署で利用 ⇒来署者がいつまで経っても減らない・・・。
以上のような「呪縛」があったにも関わらず、職員は、タッチパネルが無ければ、相談会場は回せないと思っていました。
一方、「作成コーナー」のメリットは、
・ 申告書のすべての項目を入力するので、将来的に電子申告に繋げば、申告書のOCR入力事務が省力化できる
※ 当時は、まだ電子申告に繋げていなかった。
・ パソコンと家庭用プリンターで申告書が作成できるので、特別な機械は不要
⇒ インターネットの普及により、自宅で申告する人が増えていく ⇒来署者の削減
作成コーナー(オフライン版)の開発に着手!
このまま、高価な「タッチパネル」を拡大設置したとしても、来署者は絶対減らない。逆にリピーターを生んでしまう。
そうだ、タッチパネルを廃止して、相談会場に、「作成コーナー」を配備しよう!
と私は決意しました。
しかし、当時(平成16年)は、まだまだインターネットの使用料は高く、また、スピードも遅かった。
では、どうすれば良いか・・・。
私は閃きました。
「パソコンの中に、WEBの仮想空間を作って、作動させればイイ!」
会社に入って28年、パソコン通信の時代からパソコンをやってきた私だからこその発想!?
要は、作成コーナーは、WEB用にプログラムしているのだから、そのプログラムをパソコンのHDDに落とし込んで、そこをアクセスさせることで、インターネットに繋がっているように見せかけるというもの。
これなら、ネット回線を敷設する必要もないし、接続料の費用もかからない。
名付けて、「作成コーナー(オフライン版)」
前回のブログで書いたとおり、申告書の印刷はモノクロ対応にしたので、プリンターも、ずいぶん安くなったレーザーが配備できます。
また、ホームページ用に開発したプログラムを、HDDに移設するだけなので、そんなに開発費もかからないわけです!
私が開発担当となった3つ目のミッションが、このオフライン版の開発でありました。
全国の会議で、猛反発!呪縛はまだまだ解けなかった(+_+)
平成16年秋、全国の国税局の課長を集めて、国税庁で会議。
私から、「作成コーナー(オフライン版)」を導入すると発表。
問題意識を説明
・ タッチパネルをこのまま使っていっても、来署者の削減にはつながらない。
・ 今後、インターネットが飛躍的に普及することを見据え、「作成コーナー」の利用を促進するため、来署者にオフライン版を経験いただいて、翌年以降、自宅からの作成コーナーの利用に繋げていく。
そうすると、全国の課長が猛反発!
・ タッチパネルの方が、使いやすい。作成コーナーは、キーボードを利用しなければならず、入力に手間が掛かる。
・ 「作成コーナー」は、タッチパネルに比べると、画面がごじゃごじゃしていて、わかりにくい。それを署に置いても、誰も使わないだろう。
・ タッチパネルを活用した相談体制が確立している。それを今から変えろと言うのか!
などなど、オフライン版に賛同する意見は皆無でありました。トホホ…。
そして、現在に至る。タッチパネルは消滅した。
各局の課長さんの反対を押し切り、私はオフライン版を開発・導入しました。
しかしながら、平成16年分確定申告では、相談会場の隅っこに、オフライン版が置かれていて、メインは、やはりタッチパネルが活躍していました。
当時のT課税部長が、署の相談会場を視察され、庁に戻ってきて、「オフライン版、全然使ってないじゃないか!」と怒られる始末。
一気に体制は変えられない。私も、そう思っています。
しかし、あと10年もすれば、絶対、インターネットが普及し、パソコンを触れる人が増えてくる。今、やらないで、いつやるんですか!
私の信念は揺らぎませんでした。
さて、皆さん、現在、署にはタッチパネルってありますか?
見たことがない人も多いのではないでしょうか。確か、平成19年に廃止されました。
それに代えて、私が開発したオフライン版は、平成19年、電子申告と繋がるように改良されて、現在でも、相談会場のメインのシステムとして活躍しています!!
しかも、今年の確定申告期限間際に、e-Taxの接続障害が発生。
全国の署に設置している「作成コーナー」は、特殊な仕掛けをしてあって(これも私が開発したのですが)、e-Taxの負荷を避けるため、オフライン版に切り替え、申告書を印刷する方法で、その障害を回避しました。
平成16年に開発したオフライン版の技術が、まさか今年活かすことになろうとは、私もビックリ!
(編集後記)
いかがだったでしょうか。
今回の内容は、まさしく「秘話」だったのでは?
現在署に配備されている「作成コーナー」パソコンは、ホームページの「作成コーナー」とは違って、オフライン版の技術を活用して開発されています。
しかも、現在は、e-Taxで送信できるので、紙の申告書のようにOCR入力する必要無し!入力したデータが、そのままKSKシステムに取り込まれるので、極めて効率化されてます。
もう20年ほど前の話でありますが、全国の課長から猛反対されたオフライン版を開発し、タッチパネルを廃止した私の決断は間違ってなかった。
と、今更ながら、自分で自分を褒めてあげたいですね(笑)
こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。
事務所HPのブログを更新しました。
前回予告したとおり、これからシリーズで、インボイス制度を電子帳簿保存法について、解説していきたいと思っています。
良ければお読みください!




