連休が明けると、社会に戻る。

戻らねばならない事情があるので戻るわけだが、

人生の休息が終わる寂しさもなくはない。

 

それを紛らわせてくれるのも競馬だ。

競馬をやってさえいれば幸せだという単純な自分、

かわいいもんだ。

 

先週はくわえて3日間競馬。

競馬場へ行くより家でのんびりしようと

自宅WINSを開設した。

 

その3日目のことだった。

パドック映像はテンポよく一頭ずつをとらえるので、

直感に任せて悩む暇なく馬を選べる。

何周も眺めてしまうと、取捨選択に様々な邪念が入る。

もちろん、じっと見ることで見えるものもあるが、どちらにしろ

パドック解説ができるほどその相馬眼は理路整然とはしていない。

多くは直感というよりない。

 

中山5R3歳未勝利のパドックではいかにもキングハメハメハ産駒らしい強さ

が見えたルカが7番人気3着。

中山7R4歳上1勝クラスではダ1200mで走りそうな機敏な歩様をした

シークエルが5番人気2着。

 

直感に任せたパドック診断が妙に冴えていた。

続く中山8Rでは「なんとなく」とした言いようがない根拠で選んだ

カリーニョミノルが逃げ粘って6番人気2着。

 

いよいよ調子に乗った俺は中山9R成田特別で己が直感を信じるのみ。

選んだのは12番人気ララロワ。

 

これが真冬の中山ダートの長距離戦で絶好位のインで抜群の手応え。

直線で進路を求めて外に出したのを確認したので、

「巧也ぁぁぁぁぁ!いけぇぇぇぇ!差せぇぇぇぇぇぇ」とテレビに向かって

近所迷惑甚だしい絶叫が止まらない。

 

結果は1番人気テトラルキアには及ばなかったが、2着。

 

人生の休息が終わろうとする日に

ついに俺は自分の直感的相馬眼を完成させたのだ。

 

ひと時の歓喜にむせ返る俺に待っていたのは

当然ながら悲劇だった。

 

完成したはずの相馬眼は蜃気楼のごとく消え、

過信という名の自信は崩壊していった。

 

直感的相馬眼とは

単なる偶然にすぎないのだ。

 

自宅に差し込む冬の夕日はいつも優しい。

 

さあ明日は仕事だ。