凍結状態だったブログ、久々に更新します。お付き合いください。
2019年7月30日火曜日、英雄ディープインパクトが亡くなった。享年17歳。合掌。
勝手にボクはあなたとの関わりを振り返る。もちろん、あなたは知るわけもなく、
ボクの個人的な思い出だ。
ディープインパクトがクラシックを走った2005年、ボクは東中野のアパートで
ひとり暮らしをしていた。ワンルームに万年床、リモコンやら必要なものを布団の
周りに並べ、起きあがらないで生活をしていた。別に伏せっていたわけじゃなく、
単なるグウタラライフに明け暮れていた。
日本ダービーの直線。
インティライミと佐藤哲三騎手が早仕掛けから敢然と先頭に立った。
あなたに勝つために名手たちは懸命に策を巡らせ、頭を悩ませた。菊花賞の
アドマイヤジャパンと横山典弘騎手なんて普通なら菊花賞を勝てる競馬だった。
ボクはテレビで日本ダービーをゴロンと転がりながら観ていたわけだが、
インティライミが先頭に立ったところで思わず起きあがった。
「勝てる、ディープが負ける」
完全に人生においてヒネクレモードだったボクには英雄が眩しすぎた。いや、
なんとなくコイツを倒したいと身勝手な思いさえ抱いていた。何もかも
順調でキラキラと輝かしい姿、その裏側には目をやらずにだ。
ボクの淡い欲望を封じ込めるがごとく、あなたは東京競馬場の大外を
悠然と駆け抜け、インティライミを完封してみせた。
以後、ボクはあなたに挑まずにはいられなくなった。完全無欠の英雄を
前に挑むことでしか関係を作れなかった。
だから浅草のウインズで観戦した同じ年の有馬記念でハーツクライが
はじめてあなたより先んじてゴール板を駆け抜けたときは、馬券は
全くもって紙くずと化していながらも声をあげて喜んだものだ。
ゴメンナサイね。
とにかくあなたの現役中の約2年間はボクの暗黒期に重なって
しまってね。悪いのはあなたではなく、いや、あなたはむしろ競馬の
色を変えてくれた偉大な馬だ。昨今、競馬場に若者が増えている
現象にだってあなたは大きく関わっている。
あの頃の癖なのか、ボクはいまもあなたの子どもと相性が悪い。
未だに挑み続けている。勝手な男です。
あなたの娘のジェンティルドンナ、息子のキズナ、みんな
買わずに負け続けました。
若かりし頃から続くあなたに挑みつづけるボクの勝手な
思い込みはもう治りません。
ゴメンナサイ。
ただ、あなたは永遠に挑みたくなるほど、スゴイ馬でした。
競走馬としても種牡馬としても、まさに英雄です。
だから、ボクは挑みたくなります。永遠の英雄に。
応援してくれる人はボク以外に何百万人といるだろうから、
ボクのことなど気にすることなく、
さらなる世界を駆け抜けていってください。
サヨウナラ。
そうそう、あなたが後ろから一気に勝つものだから、
ボクはインティライミやアドマイヤジャパン、そしてあなたに
勝ったハーツクライのような先行馬こそ逆転の一手と
思い込むようになりました。
「ディープインパクトじゃあるまいし、そうそう後ろから一気に
差しきるなんてできるわけがない」
これ、おっさんになったボクの口癖。
あなたに挑みつづけておっさんになったボクは、
どうやら必要以上にあなたの影響を受けてしまったよう。
そうやってボクの心のなかにあなたは残りつづける。