年末年始は競馬、プロレス、格闘技、相撲をテリトリーにしている人間にとって忙しない時間を過ごした。
年末休暇が8日間と私のキャリアの中で最も長期だった点が幸いし、存分に楽しむことができた。
取りあげたい話題はいくつもあるが、
今日は引退式があったキタサンブラックについて書いてみる。
オーナーが国民的歌手である北島三郎さんだったこともあり、
キタサンブラックはいつの間にかみんなの愛馬になっていた。
最近ではちょっと珍しいぐらい身近に感じる最強馬、それがキタサンブラックだった。
小学1年生の息子が「キタサンブラックって強いんだ」なんて言い出すぐらい。私は
息子に競馬の教育は一切施していないので、どこでキタサンブラックの名前を知ったのかと言えば、
おそらく学校だと思う。小学1年生の間で話題になる馬なんて過去にいただろうか。
最後まで取材がオープンだったのも印象的だった。GⅠを複数勝つような馬は
勝ち進むにつれて取材が出来なくなってくる。グリーンチャンネルのトレセン取材番組でさえ
馬房での普段の姿なんて映らない馬は多い。ところが、キタサンブラックは馬房でリラックスした
写真がツイッター上にたくさんあった。馬の性格もあるだろうが、オーナーと調教師の
キタサンブラックはみんなの馬なんだという想いが伝わってくる。
取材を通じて私たちはキタサンブラックを身近に感じていた。
キタサンブラックのレース内容が人を惹きつけるものであった点も大きい。
他人任せのレースは絶対にしない。常にレースの流れを支配し、そこに乗ってやってくる
他人任せな馬を寄せつけなかった。
道は自ら切り開くという心意気が人の心に響いたのだろう。
そんな精神に刺激されたのか、キタサンブラックは高齢者の人気が高かった。
最近の名馬の中ではこれも珍しい。
そして競馬通を納得させるような見事なレースラップもキタサンブラックの魅力だった。
精密機械のようなラップ形成はこれでは他の馬は勝てないと評論家をも唸らせた。
アンチが少ない名馬、キタサンブラックの代名詞のような気がする。
最後の有馬記念では1コーナーから2コーナー、向正面入り口にかけて13秒台のラップを
刻んで見事に息を入れている。その手前のスタンド前でペースを落とすと、動いてくる
馬が出てくるが、中山2500mの1、2コーナーはまず動けない。そこで
ラップを落として、また向正面からラップをあげた。これでは後ろは動けない。
番手のシャケトラが捕まえに動く気配すら見せなかったことも幸いしたが、
キタサンブラックらしいレースを支配して勝つ競馬だった。
今日、キタサンブラックの引退式を映像でみた。
美しい馬体と丈夫そうな飛節が印象的だった。
武豊騎手、北島三郎オーナー、清水久詞調教師、この3人だからこそ
キタサンブラックはみんなの馬になった。