秋のクラシックは切なくて険しい。

 

私はクラシックの中で好きなレースは皐月賞と菊花賞だ。皐月賞は春のまだまだ若い馬たちによる三冠ロードの出発地点であり、

菊花賞はひと夏を超えた逞しさを増した馬たちによる三冠ロードの最終地点だからだ。

 

始まりがあれば終わりがある。物語の結末はハッピーであれバッドであれ切なさを帯びる。舞台も映画も小説も結末まで辿り着いた時、私の胸を掠める切なさがある。ああ、もう終わってしまうんだ。そんな物語と出会った事に幸福をかみ締めながら切なさが通り過ぎる。菊花賞はそんな雰囲気を味わえるレースだ。

 

週末は雨の菊花賞になる公算が高くなった。

菊花賞の雨は珍しいようだ。過去20年で天候発表が雨または小雨だった菊花賞は01年、02年、10年の3回しかない。菊花賞は穏やかで高い秋の青空が似合う。

 

01年はマンハッタンカフェが蛯名正義騎手と勝った。春の雪辱を北の夏で蓄えた力で晴らした。6番人気だった。2着は逃げて寸前まで粘った11番人気のマイネルデスポット、乗っていたのは若き太宰啓介騎手だった。私は2着マイネルデスポットが抜けて外れた。マンハッタンカフェは漆黒の大きくてカッコいい馬だった。

 

02年はヒシミラクルと角田晃一騎手が10番人気で菊花賞を勝った。2着は16番人気の安田康彦騎手が乗るファストタテヤマで大万馬券。私は松永幹夫騎手のメガスターダムをダービーの内容から距離不安関係なしと本命に推した。馬券を獲ったのは直感だけの私の母親だった。ヒシミラクルはこの後も沢山のミラクルを起こしてくれた不思議な馬だった。この馬も夏の上がり馬だった。

 

10年はビッグウィークと川田将雅騎手が菊の大輪を咲かせた。この馬は7番人気だった。私はビッグウィークが本命だったが、何故か1番人気2着のローズキングダムが抜けていた。よく憶えていない。ビッグウィークは晩年は障害レースにも挑戦した努力家だ。夏の小倉から這い上がり、神戸新聞杯3着からの巻き返しだった。

 

雨の菊花賞は上がり馬が強いらしい。夏を戦った馬たちが逞しさを菊の舞台で見せつけるようだ。マンハッタンカフェもヒシミラクルもビッグウィークも夏の上がり馬だった。ヒシミラクルとビッグウィークは神戸新聞杯敗戦から本番で巻き返している。マンハッタンカフェはセントライト記念4着からの逆襲だった。

だから3頭とも伏兵扱いだった。

 

雨の菊は逆襲が宿命づけられている。

 

今年、逆襲を果たす馬はどの馬だろうか。

 

切なさが通り過ぎゆく終着地(字余り)

 

 


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