宝塚記念の前日、私はブログに宝塚記念の予想を書いた。そこにはこう書いてあった。

 

宝塚記念は予告どおりにキタサンブラックに◎を打つ。今年に入ってからのキタサンブラックは去年より数段強い。もう逆らう理由はないだろう。

 

予想らしい予想ではない。何かに裏付けられたものではないからだ。予想と言うよりキタサンブラックに白旗を揚げている様なものだった。

 

だが、スタート直後から私はゾクゾクと胸騒ぎがした。シュヴァルグランが逃げられるような展開でキタサンブラックは行かなかった。常にキタサンブラックは武豊騎手の最高級時計が刻むようなラップ構成を表現できる馬だ。4角で動いてねじ伏せた大阪杯もヤマカツライデンを行かせた天皇賞春もラップ分析をする予想家たちが惚れ惚れするようなラップを刻んでいた。

 

ところが宝塚記念はスタートから何かが違っていた。何が違うのか私には分からない。私なりにキタサンブラックの宝塚記念での走りに思いを巡らせる。

 

考えてみれば、大阪杯がGⅠ昇格になって春の中長距離路線の王道であるGⅠ3連戦は誰しも未知なるものだった。宝塚記念出走の11頭の中でこの3連戦を使う馬はキタサンブラックただ1頭だった。

大阪杯がGⅠになる前でも10ハロンの大阪杯、2マイルの天皇賞杯、11ハロンの宝塚記念と3連勝した馬は見当たらない。緩い流れになりやすい阪神大賞典を出発点として3連勝した馬はディープインパクト、テイエムオペラオーがいる。だが、大阪杯を出発点に3連勝した馬はいない。しかも大阪杯はGⅠ昇格でトライアル的意味合いでない。

 

私たちがキタサンブラックに求めたレベルが実はとてつもなく高いものだった事を私は宝塚記念を観て感じた。だけど、キタサンブラックがそれを求めたくなるほどの強さを備えた馬である事実は消えない。

 

月刊誌「優駿」で「キタサンブラック物語」を読む。キタサンブラックがヤナガワ牧場で生まれるまでの物語、そしてブラックタイドが社台のディープインパクトに対抗するための日高の希望である事が書かれている。

人々に夢を抱かせられる存在の奇跡はいつでも競馬ファンの心を癒してくれる。

 

キタサンブラックのこの春の挑戦に心から拍手を送りたい。