石浦という力士がいる。大相撲九州場所の新入幕力士で、2日目から10連勝を遂げた。幕内最軽量のいわゆる小兵力士だが、かつての舞の海とは相撲のイメージが異なる。奇襲は好まず真っ向からスピードと巧さで勝負している。

 

小兵力士は捕まえれば何とかなると周囲の力士は考えているだろうが、この石浦はそうは行かない。捕まえても左を深く差され、横に食いつかれて押されてしまう。大きい力士を倒す手本のような相撲を取る。

 

差し手とは相手の脇の下に腕を捻じ込み、相手の腕を殺しながら重心をずらす効果がある。土俵に両足で踏ん張った状態の力士は重い。だからその重さを軽くする必要がある。その意味でも差し手は深くすることが基本だと言われる。石浦はそこを徹底している。スピードを駆使しつつ下から左の差し手を活かす。相手の廻しの結び目あたりまで差し込むところが余念がない。

 

この相撲、本人はかつての鷲羽山を参考にしていると石浦は言う。オールドファンには懐かしい昭和を代表する小兵力士の鷲羽山は小柄ながら押し相撲に徹し、差して走る相撲で大きな力士に挑む人気力士だった。鷲羽山という名前が平成生まれの石浦から出るあたりに私は白鵬の存在を感じずにはいられない。

 

石浦は白鵬と同じ宮城野部屋で白鵬の内弟子とも言われており、大横綱の薫陶をかなり受けているようだ。白鵬のSNSには石浦の写真がアップロードされていて、かわいがっている様子が窺える。小さくても逃げない。体の小ささを動きの速さへ変換して真っ向勝負。僅か60キロ台で初土俵を踏んだ大横綱の教えだろう。

 

ジャパンカップの登録馬で小兵で気になる存在と言えば、レインボーラインだ。全く人気はないだろう。伏兵としては面白い。重賞勝ちはマイルでNHKマイルC3着という戦歴ながら菊花賞2着は何故だろう。少なくともマイラーではないかもしれない。

 

血統の父ステイゴールドは東京2400Mと好相性だが、緩急勝負のジャパンカップでは分が悪い。ただし、週末の雨予報とキタサンブラック、ゴールドアクターと揃っていれば、持久力戦もある。その時、小兵ながら意外性を持っているレインボーラインは怖い存在だろう。