1990年代初頭、日本の短距離界に王者として君臨していたサクラバクシンオー。スタートからゴールまでスピードを持続させる走りは完全無欠の絶対王者だった。

種牡馬入り後、仕上がりの早さとスピードを売り文句に無数の産駒を送った。だが、どうにも後継者が現れない。ショウナンカンプが種牡馬になったが、後継と呼べる成績は残せない。グランプリボスが種牡馬になったのは晩年で、しかも適正はマイル。スプリンターではなかった。

サクラバクシンオーは今も天国で憂鬱な想いを抱えている。

2016年、サクラバクシンオー産駒のビッグアーサーがスプリントGⅠ高松宮記念を勝った。このビッグアーサーが真にサクラバクシンオーの後継となるかどうか。これが今年のスプリンターズステークスのテーマだ。

問題になるレースが9月セントウルステーク。
休み明けのビッグアーサーは1番枠を引いたため、包まれるのを嫌って逃げの手に出た。さしたる逃げ馬不在のレースだったので、止むを得ない戦略だったと言える。

しかし、レースラップは前半3ハロン33秒1、後半3ハロン34秒5と前傾ラップだった。しかも最後の200Mは12秒5を要している。逃げ切りを確信して流したものではない。ゴール寸前までネロの強襲に遭い、福永騎手は負けじと目一杯追った。

ここにビッグアーサー隙ありとみる。休み明けのステップレースを勝ちに拘る意味は一つ。完全無欠の絶対王者を目指したからだろう。この秋のスプリント戦全勝で乗り切ることはサクラバクシンオーの後継者として必要な条件だ。

何故、サクラバクシンオー産駒がスプリント戦の上級条件で弱いのか。セントウルステークスのように最後最後に踏ん張りが効きにくい、つまりスピードの持続性が急坂で落ちるからだろうと思う。下級条件ではそこで落ちても後続を抑えきれるが、条件が上がると必ず捕まえる馬が現れる。

と考えると、捕まえる馬を探せばいい。
◎はブランボヌール。皮肉にも母父サクラバクシンオーだ。だが、父ディープインパクトが底力を伝えるので最後まで伸びる。

春は馬体減に悩まされたが、キーンランドカップをプラス20キロで快勝した。そのキーンランドカップのラップは前後半3ハロン34秒1-34秒4のイーブンペース。最後1ハロン11秒8のところでシュウジを捕らえた。洋芝から野芝に変わるのも問題ない。枠順も願ってもないビッグアーサーの隣。これならビッグアーサーを捕らえられる。

サクラバクシンオーのような絶対王者が誕生するのは容易ではない。だが、サクラバクシンオーの血は後の世代に確実に受け継がれていく。決して憂鬱になることはない。

◎②ブランボヌール
〇①ビッグアーサー
▲⑤シュウジ
△⑪ダンスディレクター
△④ソルヴェイグ
△⑫レッツゴードンキ
★⑯ネロ