グレーゾーン | 56歳人生5社目の再就職 放浪記(旧Tokyo単身赴任放浪記)

グレーゾーン

 中学校野球部保護者会会計を辞めたいと言ったT君のお母さん。その理由は以外なものだった。経緯と理由は以下の通りである。

 今月初旬、新旧交代の保護者総会が開かれた。その席上で3役(会長、副会長、会計)を抽選で決めることとなり、T君のお母さんは会計のくじを引き当てた。(スルメの妻は副会長を引き当てた)そして、Tさんはその場で会計の役を快諾したそうだ。 

 その後、会計の役を引き受けたTさんは、前年度の会計担当者から資料を一式渡され、引き継ぐことになった。Tさんは改めてその内容を確認したという。

 Tさんは、昨年度の会計項目の中に夏合宿の“スポーツドリンク代、氷代ほか”という項目を見つけた。そして、項目に対する領収書を確認すると1枚のお弁当屋さんの領収書が貼られていることに気が付いた。弁当2個1000円程度の領収書である。疑問に思ったTさんは、すぐ前任者に問い合せた。前任者からは、それは監督とコーチの弁当代だと返答があった。そして、本来なら生徒のための保護者会費から教師でもある監督やコーチへの飲食費用は出さないのだが、夏合宿の場所が非常に辺鄙なところにあり、生徒は弁当持参だが監督とコーチが何キロも離れた所まで昼食を食べに行くのは忍びないという理由から、その場に居合わせた保護者が急遽機転を利かせたのだと前任者からTさんに説明したのだという。

 その説明に対しTさんは、「私は、公務員、教師、警察官の家系に育っており、一切の不正は許せないのです。今回のお弁当代はグレーゾーンかも知れませんが、公立学校の教員に対して飲食を提供したような領収書が1枚でも含まれている保護者会の会計の役は引き受けることは出来ません。だから辞めさせて下さい。それに、月1,500円の部費も高すぎる」と辞任を会長に申し入れたそうだ。

 これが昨晩、妻が会長から聞いたTさんが会計を辞めたいと言っている理由である。それを聞いたスルメは、「ギャハッハッハッハァーっ。そういう人もいてるんやぁっ。へぇーっ。てっきり忙しいとかの物理的な理由かと思った」と感心してしまった。確かにTさんの言っていることは正しいようにも思える。が、である。じゃぁTさんは自分は抜けて他人に不正を働かせる気なのか?公務員さんは民間人と比べ皆聖人君子なのか?どうもわたしにはTさんが“私は他の人とは違うんだ”と言っているように思える。

 会長は、当然、前年度の会計報告は監査も通し総会でも承認されているのだから今さら過去のことを蒸し返しても仕方がない。だから、Tさんの代はキッチリやってもらったらいいのではないかと言う。大人の意見だ。ちなみに会長は民間企業の営業マン。前任の会計担当者は、夫が銀行マンの妻。

 スルメの妻は、「そんなんやっらた辞めたらええねん。次の人が決まるまで私がやってもいいし」と言う。確かに物事は常に動いているのでツベコベ言っている暇はない。

 わたしは、Tさんには結構ドロドロとした庶民の現実を知ってもらう為にも、1年間会計を責任を持って体験してもらったら良いと思う。

 結局、Tさんに対しては、バッティングマシーンのメンテナンス費用積み立ても含めた部費の構成、保護者会運営の意義をもう一度説明することで慰留をはかることになった。


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