the UFOs 恋治オフィシャルブログ第二期「★太陽ニ殺サレタ7月ハ、体ガ夏ニナル★」Powered by A〇〇ba-110728_1745181.jpg

私は気付いていなかった。
自分の体が可笑しくなっているのに。
何不自由なく日々を生活していた。
仕事も家事も、なんでもこなしてきた。

いつぶりだろう。
洗面台の鏡でワタシを見たのは。
埃塗れで、汚れきったその鏡には自分の影しか写らない。
梅雨時に生えそろった黴も混じっている。
配水管の中からは色々なモノが腐食し、まるで壊死した肉のような腐臭さえ漂ってきそうだが、匂いは無かった。

雑巾で鏡を拭く。
こびりついた埃は中々取れない。

あぁそうだ。
洗剤を使おう。

それでも中々、埃は取れない。
私は気が狂ったように鏡を拭き、擦った。



何時間が経っただろう。
記憶も無い程に私は鏡を拭いていたのだろう。
とり憑かれたように。


我に返った。
その瞬間、猛スピードで苛立ちが、怒りが込み上げてきた。
私は逆らえず、抑えられず、おもむろに拳を鏡に叩き衝けた。

スーパースローの様に鏡に拳がめり込んでいく。
鏡が割れ、拳が破け、赤い血が飛び跳ね、鏡の破片が飛び散り、破片が体に刺さってゆく。



鏡の破片に私が写っている。
沢山のワタシが。
血塗れのワタシが写っている。



怖くなって私は、割れた鏡に写ったワタシに謝り続けた。






気が付けば私は




























2002.02.02 恋治 短編小説