以前から「日本人の平均寿命は世界一」といった報道を見る度に、「そもそも平均寿命はどうやって定義し、どう計算するのだろう」と疑問に思っていたのですが、今朝の朝日新聞の連載解説コラム「ニュースがわからん!」を読んで、その疑問が解決しました。この記事によれば、たとえば2007年の男性の「平均寿命」は次のように計算されます。

 2007年の0--1歳男性の死亡率は0.274%だから、2007年に生まれた男性の0.274%は0.5歳だけ生きると考える。次に1--2歳の死亡率は0.04%なので、先ほどの0.274%を除いた99.726%のさらに0.04%は、1.5歳だけ生きると考える。これを繰り返し、n--n+1歳の死亡率がa%なら、1からn-1歳までに死亡した分を除いた割合にa%を掛けた割合が、n+0.5歳だけ生きると見なし、これらを合計する。
(もちろん年齢の刻みをもっと細かくする事もでき、その極限は積分になる。)

 なるほどこれなら確かにその年次の年齢別の死亡率が求まれば、「平均寿命 」を求める事ができますが、明らかに「2007年に生まれた男性の寿命」の平均とは異なるものです。本来、ある人の寿命はその人が死ぬまでは決まらないので、2007年に生まれた男性がすべて死亡するまでは、真の平均は求まるはずはありません。従って例えば2150年辺りになれば、(データをどのように収集するかを考えなければ)2007年の男性の平均寿命は求められる訳ですが、現時点で求まるのはあくまでもその推定値に過ぎず、その推計にはある仮定を置く必要があります。上の計算法によると、その仮定とは「新たに生まれた人がn歳で死亡する確率は、n年前に生まれた人のそれと同じである」というものです。しかしこの仮定は、現実離れしているように思われます。
 例えば現時点で60-70歳の人は、戦後直ぐの劣悪な社会状況によって淘汰された結果の「生命力の強い」人ですから、通常より寿命 が長いのではと予想されます。一方で最近のニュースなどを見ていると、現在の若者は心だけでなく肉体的にも弱いのではと感じられます。このあたりの想像はすべて主観的なものですが、もし事実なら、実は「平均寿命」よりも実際の寿命の平均は有意に短いのではないでしょうか。