「夢をあきらめないで」 | 谷口礼子オフィシャルブログ「じゃこのおもしろいこと」
じゃこです。

先日、母のコーラスのコンサートを聴いてきました。
母は小学校の先生だったので、私が小さい頃は趣味の時間もなく、
とても忙しかったイメージがあって、
テレビに出てくる芸能人の名前も知らないし、
知る必要もないと言っていたくらいでした。
でも、5年ほど前に非常勤の先生になってからは、
「ママテレビが大好きなの!」というくらいテレビを見て、
「篤姫面白いから本も買ったの!」というようにミーハーになり、
書道とコーラスをはじめて、人生エンジョイし始めたので、
娘の私はその変わりようにちょっとびっくりしたものでした。

母は厳しいと思っていて、
なんとなく、気を遣いながら甘えてた。
だけど、母もお茶目で、失敗もするし、
意外と天然で楽しい人なんだって、
私は自分が大人になってから知りました。

そんな母が、
「もう!ほんとに大変なの!」と言いながら、
コーラスグループの記念コンサートで、
20曲以上の歌詞を全部暗譜しなきゃいけないそうで。
「間に合わないかも知れなくて、必死なの!」と言いつつ、
電話で私に練習の様子を事細かに報告してくれて、
「れいこに歌ってあげてるな、って、思いながら歌ってる曲があるの。」
と言うので、聞いてみると、それはアンコール曲なんだというのです。

もちろん昨年から母のコンサートの日はあけていたのですが、
夕方から別のお仕事が入ってしまって、
もしかして、最後まで聴けないかも、と母には言っていました。
だけど、そんなふうに言われたら、それは是非、聴きたいなと思って。

だって、母の話を聞いてて私、とても勉強になったのですけれど、
やっぱり、歌もお芝居も踊りもみんなそうだと思うんだけど、
「誰かに届けてる」ってことがすごく大事だと思って、
その一番原点のような姿だなと思ったのです。
「れいこに歌ってあげてる気持ちで歌ってる」曲。
実はほかにうちの弟に歌ってあげてると思ってる曲もあるそうで、
それは子守歌だというのだから、
歌って、そもそもそういうものなんだろうなーと、思って。

そう思って聴きに行ったコンサート。
母よりも年上の人のほうが多いくらいのグループ。
その人たちがみんな必死に歌詞を覚えて、歌ってて。
それぞれに人生があって、家族がいて、ということを思っただけで、
1曲目からなんだか感動してしまって。

休憩時間にあとの予定に間に合うギリギリの時刻を検索して、
何とか、アンコール曲まで聴こうと思いました。
でも、けっこう時間がギリギリで、
ドキドキしながらアンコールの拍手をして。

母たちが歌ったアンコール曲は、
岡村孝子さんの「夢をあきらめないで」でした。

「夢をあきらめないで」の歌詞はこちら

歌詞が全部自分に飛んでくる感じがして、
泣いてしまったんだけど、
でも時間が無くなって、
ワンコーラスだけ聞いて、会場を出ました。
顔がぐしょぐしょで駅まで走って、
駅でとまったらもっと泣けてきて、
ああ、もう、たいへんだった!

何ていい曲なんだ。
そして、これを私に歌ってくれる母にすごく感謝しました。

こどものころ、母は私に「ふつうでいいから幸せになってほしい」と言いました。
私はそれが不満でした。夢をみることを、止められたように思いました。
でも今の私にはその意味がちょっと分かる気がする。

いま。夢ってなんだろうと、考える日もあります。
でも、母の娘でよかったなーと思って。
これからも、がんばろうとおもった。
いいこともわるいことも起きるけど、
がんばろうとおもった。

ちょっとしたことだって、夢なのかもしれない。
前向きに、「明日は何が起きるかな」って楽しみに、生きていくことで、
それだけで、いいんだって。

そんなふうに、言われた気がしました。