KOKUTAI☆メソッド
テアトルBONBONで、UDA☆MAPの『KOKUTAI☆メソッド』観劇。観劇数が減ったり、観ても書かなかったり、note.comに浮気したりしてすっかりサボり気味になったこのブログ。「観たら必ず書く」ではなく、「書きたくなったら書く」のスタンスで続けるつもりですが、この舞台を観たことは記念に残しておこう。『KOKUTAI☆メソッド』。面白かった。実はギリギリまで観るか悩んでいて、チケットを取った翌日に全公演完売。まさに滑り込みでしたが観てよかった。本当に面白かったから「面白かった」以外書くことがないのだけど、北里斎女役の小林未往さんがXに「主人公は、周りの風に乗るものだと思ってる。」と書いていて、これがすべてやなぁ、と。キャスト全員で風を巻き起こして主人公・四万十川蒼央を演じる矢島美音さんを高く高く飛ばそうぜっていう。その風のうねりが客席までしっかり届いていたから、あの空間に居ることがとにかく気持ちよかった。日替わりゲストを含め19名。これだけキャストがいると「入ってこないキャラ」がいたりするのだけど、2時間ちょいの観劇で全員のキャラが立っているのも素晴らしい。これだけカチッとハマると気持ちいいですよ。群像劇とはまた異なる、主人公を高く飛ばせるためのメソッド。お見事でした。●タイトルについてKOKUTAIといえば国体。我々の世代で国体といえばスポーツ大会なんですが、ある年齢以上の人にとってこの言葉は特別な意味を持つと司馬遼太郎の本で読んだ。(何の本かは忘れた。)詳しいことはWikipediaに長々と書いてあるのでそちらをどうぞなんですが、この舞台におけるKOKUTAIとはどうやら「黒帯」。土佐の一剣術道場にすぎない四万十川家に伝わる家宝のような物(だいぶ年季が入っているらしい)なのだが、特別な力があると勘違いした某財閥がそれを手に入れようとしたことから、四万十川家とその仲間たちが“陰謀”に巻き込まれていくというストーリー。某財閥がこの国の体制(国体)を変えられるものがあると信じて探し求めたものが、蓋を開けてみたら田舎の道場に伝わる黒帯(臭いらしい)だった。KOKUTAIに国を変える力は無かったというオチなんですが、掘り下げ方次第では結構アイロニカルで深いところに行けそうな気もしたんですが、まあ、この辺りはややこしい話になるのでやめにしましょう。俺自身そんなに知らないし、まとめられる気もしないし。ただ、こういう考えようによっては深そうな話をサラッとコメディにしちゃうところが良いなぁと。変にメッセージ性とか無くて、疲れなくて良いですよね。深堀りしたければどうぞ、みたいな。●とある短歌と小劇場について校庭の地ならし用のローラーに座れば世界中が夕焼け急に話が飛ぶけど、これは穂村弘さんの短歌で、新聞を読んでいたら偶然見つけたもの。最初この歌の良さが全然わからなくてChatGPTに訊いたら、この歌の良さは “飛躍” にあるのだそう。主人公は学生で部活をしている。部活が終わって校庭にローラーをかけたあと、そのローラーに座って(見つかったらたぶん怒られるだろう)空を見上げてみたら、空(=世界)が夕焼けしていたという歌。視点の高さを少し変えて空を見上げたら世界を感じた。校庭という狭くてローカルな場所から一気に思考が空(=世界)へと飛ぶ。この飛躍こそこの歌の真骨頂なのだそうだ。なるほど。そう聞くと良い歌に思えてくる。何が言いたいかというと、テアトルBONBONってやっぱり狭いんですよね。開場して席に着いてセットを見た時、「狭いなぁ」と思った。殺陣をやるならもっと広いところで、と思ったけど、今考えるとあのサイズにギュッと詰まってるのがいいんですよね。小劇場のわちゃわちゃ感から空(この舞台では蒼天)への飛躍。それが気持ちよかったわけだ。この話は背伸びをして上京した田舎モンが道場を守ろうとして切磋琢磨しながら空を見上げる話であり、小劇場から役者たちの生き様を空(=世界)へと放つ話でもあったんだなと。そんなことを思ったのでした。どうやら再演や続編の構想があるようなので(?)、楽しみにしておりますよ。観劇日6月12日劇場で同じ時間を過ごした皆様に感謝。(日替わりゲストさん、観られるなら全員観たかったですわ)