二十数年ぶりに読み直した1冊から。
景山民夫・著『モンキー岬』
落ちこぼれの医学生と仕事にやりがいを見いだせない会社員という同級生コンビが、ひょんなきっかけで日本を脱出し向かったのは、西オーストラリア。彼らがアルバイトをすることとなった牧場「モンキー岬」の雄大な大自然やここで生活する人々とのふれあい、この地を襲う「開発」という荒波との対峙を経て彼らが得たものは…。といった感じの青春小説です。
景山さん自身、ものすごく自然…特に海を愛していた方なので、とにかく自然の描写が美しいのと、シンプルでわかりやすい設定ながらも最後まで飽きさせない物語の展開が印象的。
リアルタイムで読んだときの年齢が主人公たちとほぼ一緒で、かつ当時はフリーターで「この先どうしたものか…」という身だったこともあり、当時は色々考えさせられつつも、読後はものすごく清々しい気持ちになった覚えがあるのですが、あれから二十数年経って読み返した今もまた、同様の清々しさを感じました。
景山さんの作品群って僕の原点みたいなところがあるので、かねてから読み直したいと思っていたのですが、その第1弾がこの作品になった理由は…“直感”(笑)。その“直感”が意味するところは…あえて深堀しないでおこうと思います。
☆余談
僕ら夫婦の新婚旅行がオーストラリアだったのですが、オーストラリアに興味を持つきっかけが実はこの小説でして(笑)。実際に旅行したのは小説の舞台となった西オーストラリアではなく南オーストラリア・東オーストラリアだったのですが、それでも作品の舞台となった「国」を訪れることができたのは嬉しかったです。