本日は読み終えた1冊から。
シャーロック・ホームズの事件録 ~ 眠らぬ亡霊 ~
巻末の紹介によると著者のボニー・マクバードという方は、アメリカで脚本家・プロデューサーとしてご活躍された方で、本作はホームズ・パスティーシュの第2弾作品。翻訳はホームズ・パスティーシュ作品の翻訳といえばこの方!的な存在である日暮雅通さん。数年前に読んだ第1弾作品が面白かったので本作も手にしてみました。
ワトスンの未発表原稿という設定で書かれているパスティーシュ作品。スコットランドの名門ウイスキー蒸留場を経営する一家で発生した陰惨な事件にホームズ&ワトスンのコンビが立ち向かう!といったところ。サブタイトルに“亡霊”とあるとおり、“亡霊”ネタも出てくるのですが、そこは正統派パスティーシュ。ホームズ、まったく動じません(笑)。
本作の特徴は、ドイル作品の「あの女性」を彷彿とさせる女性キャラクターが登場することと、ホームズの語られざる学生時代の話が出てくること。
依頼人として登場する前者の女性キャラクターが繰り広げるホームズとの知恵比べや議論はなかなかにスリリング。最初の出会いから終盤ギリギリまでホームズは彼女に対して、あまりよい態度をとっていないのですが、こういう態度はドイル作品でも語られているところ。
そんな女性に対する態度の由来が、後半で語られるホームズの学生時代の経験に由来している…という展開になっているのですが、これがなかなかに説得力があって印象に残っています。なおかつ、実はこの時点で前述した女性キャラクターとも、一連の事件を企てた者とも縁があった…という壮大な仕掛けにも、ニヤリとさせられました。
巻末のあとがきによると、アメリカでは第3弾作品も出ている様子。日暮さん、ぜひ翻訳お願いします!
☆余談
舞台がウイスキー蒸留場なので、スコッチを仕込むシーンや飲酒するシーンがたくさん出てきたのも呑んべぇとしては楽しく(笑)、ウイスキーをちびちびやりながら読んだりもしました。