本日は、読み終えた1冊から。
【コミックス版】京都寺町三条のホームズ(6)
つい先日小説版の最新作を読んだばかり。この短期間で新刊が2作品も読めるとは…なんて幸せなんだ!
本作に収録されているのは『小さなホームズと黒髪の女の肖像』『二人の八社寺詣り』『祇園に響く鐘の音は』の3エピソード。
『小さな…』は小説第8巻に登場するエピソード「小さなホームズ」をアレンジしたもので、原作者である望月さんのリクエストにより繰り上がってコミカライズされたようです。前巻(5巻)の最後に収められていたのが上田さんが清貴に無茶な依頼をする『聖夜の煌めき』という話だったので、その後日談から彼ら二人の関係性を遡るような流れにしてあるので、話の時系列に違和なく溶け込んでいます。
小説版の「小さな…」は彼ら二人の独特の関係性が構築されるまでを複数のエピソードで丁寧に描いているのに対し、コミックス版は大幅にアレンジして1エピソードに凝縮しているのですが、小説の印象的なシーンを巧みに取り入れつつエピソードの“本質”もしっかり表現されているので、この大幅なアレンジに対するストレスを全く感じさせないところが流石です!
『二人の…』『祇園に…』の2エピソードは小説版3巻に収録されていた「祇園に響く鐘の音は」をアレンジした作品。
こちらは『小さな…』とは逆に1つのエピソードを2分割するアレンジになっているのですが、これがまたうまい具合にほっこりエピソード(『二人の…』)と、スリリングで緊張感漂うエピソード(『祇園に…』)にわかれ、それぞれのエピソードの個性がより活きるアレンジになっています。
このあたりは作画担当の秋月さんが原作の世界観をしっかり把握しておられるのと、ここぞ!というシーンをチョイスしアレンジするセンスの良さが光ってるように思います。
「京都寺町三条のホームズ」の原作の世界観とそのアレンジの両方が楽しめるとても贅沢な作品。小説に追いつくのは大変でしょうけど、ぜひ完遂してほしいところです。