普通の生活 / 景山民夫 | jakeのブログ 

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いろんなキャラをこなしながら日々思ったこと・感じたことなんかを書いてみます。

本日は、先月「グレン・モーランジー」に絡んで何度も登場いただいた、こちらの本の話。

景山民夫・著『普通の生活』

 

入手したのは大学に入学した年だったはずなので、もうすぐ30年になりますね…。

僕が景山民夫という作家にハマるきっかけは大学生の頃。…なんてコトを書き出すといつまで経っても本編に到達できないので今回は割愛しますが、僕の「ハマったらトコトン!」という悪癖(笑)の第1号作家さんが景山民夫さんで、把握できた限り…という条件にはなるものの、一般販売されている著作のすべてを所有している、唯一の作家さんでもあります。

 

さて、本日ピックアップした『普通の生活』ですが、記憶にある限り僕が景山さんの著作としては3番目(ちなみに1番目はテレビ業界を舞台にしたハードボイルド小説『トラブル・バスター』)、エッセイとしては初、そして何より、景山さんの作品にドハマりするきっかけになった本です。

その当時入り浸っていた、個性的な手書きのPOPで有名な某遊べる本屋さん(ほぼ特定できますね…笑)で、『小説よりもエッセイのほうが瑞々しい…』なんて感じのPOPに惹かれて購入したのですが、もう…やられましたね。すべてに。

 

まずはタイトルと内容のギャップ。『普通の生活』と言いながら、ほぼ普通じゃない(笑)。なにせオープニングからいきなり「離婚調停書」ですからね…。次にくるのがネス湖探訪と“グレン・モーランジー”との出会いを描いた「ネス湖の生一本、グレン・モーランジー」。すごくないですか?このネタのふり幅ッ(笑)

 

これ以降も、景山さんが若かりし頃にしたギブソンJ45を抱えてのアメリカ放浪時の経験を描いた「ギブソンJ45」「ニューオリンズのジャンクフード」や、中古のミニ・ヴァンでヨーロッパを巡った「ミニ・ヴァンの墓碑銘」、フランス人領主とタッグを組んで観光客に悪戯をしかけた「ゴッホの右耳」といった海外での経験をベースにした話もあれば、テレビ番組制作過程で経験した心霊体験を描いた「嫌な奴は怒鳴りつけろ!」景山さんが長年あこがれていたトニー谷を起用して制作したテレビ番組の裏側を描いた「トニー谷のディナー・ジャケット」といったかつてのホームグランドであるテレビ業界の話、第二次世界大戦中に日系二世がその出自故に経験することとなった理不尽を描いた「日系二世へのサム・クエスチョン」、日本人の内外観を皮肉った「内と外・日本人について」といった歴史や世の中を冷静に見つけた話、ファーストクラス搭乗をまさかのカタチで残した「一級の体験」や美しき下ネタ(笑)「心理は生理に敗れ去る」といったトンデモ行動の話…とまぁ、とにかくバラエティーに富んでいるうえに、どれもトンでもなく面白い。

 

そして何より!文章がわかりやすくて美しくてオシャレ!タイトルの付け方のセンスも抜群!「何者なんだ、この作家さんは…」と当時はただただ衝撃を受け、それ以降は小説やエッセイといったジャンルも過去・リアルタイムといった時系列も問わず「景山民夫・著」と記されている本はひたすら収集して貪り読みましたし、特にこの『普通の生活』は当時何度も読み直していました。

 

このブログを書くために改めて全体を読み直してみたのですが、つい先日“グレン・モーランジー”を呑みながら読んだばかりにも拘らず、やっぱり面白かったし、こんなふうに文章が書けたらなぁ…なんてつくづく思いました。

 

山下達郎さんのラジオ番組「サンデーソングブック」の番組CMの口上を拝借させていただくと、僕にとってこの『普通の生活』は“エバーグリーンなエッセイ集”です。

 

さて今宵も。

 

…美味い。