読み終えた1冊から。
水木しげる:著『劇画ヒットラー』
誤解のないよう最初に書いておきますが、彼の所業に対する共感は微塵もありません。しかしながら、彼やあの時代の出来事を冷静に“知ること”自体は意義があるように思い、手にした1冊です。
ヒトラーの挫折を経験した青年時代から自ら命を絶つまでの56年の生涯を描いた劇画。戦争の悲惨さを身を持って経験しておられる 水木しげる さんが、“肯定”“否定”という視線をあえてとらず、彼やあの時代にまつわる膨大な資料を読み解いた上で、冷静に描いておられるところに、その制作意図を感じました。
冒頭の繰り返しになりますが、彼の所業に対する共感は微塵もありません。
しかしながら、彼やあの時代の出来事を冷静に“知ること”自体は意義があると思っており、本書の目線は、その目的を充分に果たしてくれる1冊でした。
出版社が本書を『隠れた名作』と称したのも納得です。
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劇画ヒットラー (ちくま文庫)
546円
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