まだらの紐 ~ コナン・ドイル傑作集① ~ / コナン・ドイル | jakeのブログ 

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いろんなキャラをこなしながら日々思ったこと・感じたことなんかを書いてみます。

先日読み終えた1冊です。

創元推理文庫の『まだらの紐 ~ コナン・ドイル傑作集① ~』。

この本、1年ほど前に某大型書店(遠方)の店頭で見つけて新品を入手するチャンスがあったのですが、その書店に行く前の時点でホームズ関連本を4冊購入していたので(^^;)、懐具合的にも運搬物量的にも「今日はこれ以上無理だな…」と。「次の機会に買うか、アマゾンで買えばいいか…」なんて思って、買わなかったんですよね。

ショックを受けたのは、家に帰ってから。

アマゾンをチェックしてみたら取り扱いは中古本のみで、しかも販売価格は定価の3倍(!)ときたもんだ。

「どういうこと?」と思い、出版社のHPを確認してみたら、どうやら『絶版』していたらしく…。こんなことなら、あのとき買っておけば…と思っても、あとの祭り(--;)。

その後も、あちこちの新品・中古を問わず探してみたもののお目にかかることはなく、半ば定価の3倍でも買っちゃおうかな…なんて思っていたのですが(我ながら「好き」ってコワい…^^;)、先日、遠征先の某○ック・オフで遂に発見!

見つけたときはもう感動しちゃいまして。まだ他にも店内を物色するつもりだったのですが「物色中に、他人にとられてなるものか!」ってな感じで、ずっと握りしめてました(^^;)。


さておき。

コナン・ドイルの作品といえば、誰しもが真っ先に頭に思い浮かぶのが『シャーロック・ホームズ』だと思うのですが(ドイル本人には申し訳ないですけど…^^;)、“ホームズ物語以外”にも数多く、かつ様々なジャンルの作品を世に発表しており、この『創元推理文庫:コナン・ドイル傑作集』は、そういった“ホームズ物語以外”の作品を集めたもの。
もっとも、その“傑作集”第一弾となる本作 『まだらの紐』は、そのタイトルからも推察されるとおり、ホームズ関連の作品も収録されているのですが…(^^;)。

「まだらの紐」。長短あわせて60編あるホームズの“正典”の中でも屈指の人気を誇る作品ですが、この傑作集に収められているのは戯曲バージョン。ホームズ物語の戯曲化といえば、ウィリアム・ジレットが有名ですが、この「まだらの紐」はドイル自らが戯曲化し、物語も正典よりもより掘り下げている点が好印象な作品でした(^^)

ドイルによる戯曲化作品としてはもう1作品、「王冠のダイヤモンド」が収録されているのですが、こちらはタイトルこそ初見ですが内容は「どこかで読んだことがあるぞ…」というもの。
それもそのはず。「マザリンの宝石」(「シャーロック・ホームズの事件簿」収録)と同じギミックを使用しているのですから(^^;)。もっとも、本書のあとがきによると、この戯曲の方が先に作られており、「マザリンの宝石」は、この戯曲を再構成して小説家したものなのだとか。今風に言えば芝居をノベライズしたって感じになるのでしょうね。


ホームズが大活躍する作品が収録されている一方で、「ホームズ物語を書くのが心底イヤだったんだなぁ…(^^;)」なんてことがわかるのが、自分の生み出した大人気キャラを、思い切りぞんざいに扱って(^^;)書いている「競技場バザー」「ワトスンの推理法修行」の2作品と、自らホームズ物語を書くことをやめた理由を語った「シャーロック・ホームズの真相」。
ドイルがホームズ物語を書くことをイヤがっていたことは知識として知っていましたが、こうして作者自らの作品や談話として改めてその事実を目にすると、やはりそれなりにショックですね。

そのほかにも、ホームズ物語の創作を嫌がりつつも、「物語を作るからにはしっかりしたものを…」と真摯に作品に取り組んでいたドイルの姿を垣間見ることができる「シャーロック・ホームズのプロット」や、ホームズの名こそ登場しないものの彼を連想させる人物が登場して推理を披露する「消えた臨時列車」「時計だらけの男」、「ホームズなしでもここまで書けるぜ!」という気概を感じる「田園の恐怖」「ジェレミー伯父の家」など、どれも非常に興味深い作品ばかり。

ほぼ1年がかりになりましたが、入手してよかった!と思える1冊でした(^^)