シャーロック・ホームズの気晴らし / ルネ・レウヴァン  | jakeのブログ 

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あの暴走から、約2ヶ月…。

最後まで残っていたこの本を先日読み終え、ようやく4冊全てを読破しました(^^)。

フランスのミステリ作家、ルネ・レウヴァンによる『シャーロック・ホームズの気晴らし』。

この本の特徴は、帯にある「私は長い間、この事件の公表を控えてきた-」という一文に象徴されているように、ドイル作品において様々な理由から概要程度しか公表されていなかった、所謂“語られざる事件”をモチーフに創作されたパスティーシュ作品であること。

実はこの本、さらりと流し読みしたときにホームズ物語の知識だけでは読みこなしきれないような印象があったのと他の本に比べて突出して高かったので(^^;)、購入を少しだけ躊躇したのすが、“語られざる事件”というのは、何とも興味をそそるものがあり…「好きなモノにお金を出さなくて何に使うんだ!」なんてことで購入。なおかつ、ボリュームのある作品だったので「暴走4冊の“トリ”はこの作品だな…」なんて思い、最後まで残しておきました。

本国・フランスでも絶賛されているようですが、6編とも非常に興味深く、かつ濃い作品ぞろいの1冊でした。

が。

購入前に流し読みしたときの印象も、ずばり的中しちゃいまして…(--;)。

欧州各国の歴史や文学史、宗教等の知識がないと理解しきれないような物語も多く、読みこなすのにずいぶん苦戦してしまいました。

この作品に限らず、ホームズ物語以外の物語の登場人物が活躍したり(直近に読んだ作品では「神の息吹殺人事件」)、歴史上の実在人物が登場したり(直近に読んだ作品では「ホームズVSフロイト」)パスティーシュでは、それらに関する予備知識がないと理解できないネタが多く、そういったものにお目にかかるたびに「知ってりゃ、もっと楽しめるんだろうなぁ…」と、何とももどかしく悔しい思いをしますね…。でも、これらすべてに対応しようと思うと際限ないしなぁ…。

いわゆるシャーロキアンの方というのは、ホームズ物語そのものに対するあくなき探究心もさることながら、作者であるコナン・ドイルだったり、ホームズやドイルが活躍した時代や歴史などの史実にもその探究心が向けられるうなので、そういった探求心旺盛な方であれば、そこから得た知識で、何の苦もなく楽しんで読めるのかもしれませんが、僕のような単なる“ホームズ好き”にとっては、本作はちょいとばかりハードルが高い作品だったなぁ…というのが正直な印象です。(あるいは欧州では、この物語に出てきた文学史や宗教観というのは、当たり前の知識なのかもしれませんが…)

でも物語で出てくる範疇ではありますが、新しい知識も仕入れることができました(^^)。こういう出会いもまた、パスティーシュの魅力なんでしょうね。


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