キャロル・ネルソン・ダグラス:著・日暮雅通:訳による「おめざめですか、アイリーン」。文庫本ながら本編で540ページという、なかなかにボリュームある1冊。
あのホームズをして、“あの女性”と言わしめたアイリーン・アドラー。そんな彼女を主人公にしたパスティーシュの第2弾となる本作は、前作「おやすみなさい、ホームズさん」がドイルの聖典『ボヘミアの醜聞』を絡めているのに対して、完全にオリジナル・ストーリーになっているのがポイント。
そのため…というわけではないでしょうけど、ホームズの出番はぐっと減りましたが、主役であるアイリーン・アドラーは前作を更に上回る勢いで大活躍!
ホームズが認めた推理力やバツグンの行動力・度胸・頭脳はもちろんのこと、舞台出身者…という利点(?)を活かした設定や能力も付加されて、流石にちょっとやりすぎじゃない?という部分も若干感じなくもないですが(^^;)、そこは「いやぁ…“あの女性”アイリーンですからねぇ…。これくらい、やれちゃうでしょ…」なんて感じで、あっさり認めてしまいました。
脇を固めるキャラクターも、そんなアイリーンに見事に振り回されてます(^^;)。
が。ドイル聖典での“ワトソン”的なポジションのキャラクター、ぺネロピー・ハクスリー嬢(本作のオリジナル・キャラクター)の良い意味でのおせっかい度や真面目さは、それゆえにアイリーンとの友情が長続きするのだろうし、アイリーンの夫・ゴドフリーのいい男ぶり&多芸さ(この人も「そこまで、やら“される”か?感がたっぷり…^^;)も、このくらいじゃないとアイリーンの人生の伴侶は務まらないよね…って感じで、非常に魅力的。
そんな3人による大冒険物語は、ホームズ&ワトソンの支え(?)がなくても、充分に楽しめる作品でした。
このシリーズ、原作は既に8作品リリースされているのだとか。そのうち翻訳されているのは本作を含む2作。じみじみ~っとでもかまわないので、ぜひ全作品を翻訳してほしい!
ってか、英文が読めるようになりゃ、翻訳を待たずに読めるのか…(^^;;)。
- おめざめですか、アイリーン (アイリーン・アドラーの冒険) (創元推理文庫)/キャロル・ネルソン・ダグラス
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