ドラマー ビリー・コブハム 初のリーダー作「スペクトラム」。ちなみにCDの後ろにあるのはフュージョン・ベスト・コレクション1000のカタログです。
第1弾のラインナップ50枚から、このアルバムを選んだ理由は2つ。
①「STRATUS」(本作6曲目収録)のオリジナルを聴いてみたかった!
「STRATUS」という曲を始めて聞いたのはスタンリー・クラーク(Ba)の「ライブ・アット・ザ・グリーク」というライブ・アルバム。ビリー・コブハムの他、ラリー・カールトン(Gt)デロン・ジョンソン(Key)ナジー(Sax)という早々たるメンツが参加して極上の演奏を披露しており、フュージョン好きなら一聴(いや何回でも)の価値アリな超格好いいライブ・アルバムで、特に「STRATUS」は、メイン・リフの微妙な調感と、ラリー・カールトンのギター・ソロがバツグンに格好よかったこともあり(これを書くと非常に長くなるので、またの機会に)、購入してから十数年経過していますが、今でも非常に印象に残っている1曲です。(ちなみに、このアルバムが僕のビリー・コブハム初体験。パワフルかつ派手なドラムが印象的でした)
これ以外にも、他アーティストがカバーした「STRATUS」は色々聴く機会があったものの ―個人的には前述のものと2006年にリリースされたジェフ・ベックの「ライヴ・ベック’06」という公式ブートレック(よく考えりゃ変な表現)収録版が好き― 今までオリジナル版を聴いたことがなかったことを『フュージョン・ベスト・コレクション1000』のラインナップを見て思い出し、ちょうどいい機会だと思いました。
②トミー・ボーリン(Gt)のプレイを聴いてみたかった!
このアルバムでギターを弾いているのはトミー・ボーリン。数年前に購入した音楽誌で彼の名を知ったのですが、その記事で見たボディー塗装がボロボロに剥げたストラトキャスターの写真や彼の数奇な運命(悲劇的な…とも言えるのかも)、(残念ながら)表立って語られることがなかった音楽的なセンスや影響などに興味を持ち、いつかその音とプレイを聴いてみたいと思っていたギタリストの一人でした。その“いつか”がようやく“今”になりました。
そんな理由で聴いた本作。第一印象は…
ドラム、うるさッッ!
でした(^^;)。
うん…今、世の中のドラマーやビリー・コブハム・ファンを敵にまわしたなぁ…、オレ(^^;)。
フォローさせていただくと、悪い意味での「うるさッ!」ではないのです(むしろ僕は派手&デカい音のドラマーって好きです)。楽曲内のミックス・バランス上「ドラムの音をここまで前に出してくるかぁ~?」という意味でのことでして(ん?やっぱフォローになってない…?)。でも、ドラマーのソロ・プロジェクトで、しかも初の個人名義ともなれば、やっぱ前に行きたくなりますよね…「オレのタイコを聴いてくれ!」~って気持ちは、非常によくわかります。(ちなみに、今企画用に書かれたライナーノーツにもミックス・バランスについて「あ、やっぱそう思うのオレだけじゃないんだ…」なんて思うコメントがあり、ホッとしました…^^;)。
念願のオリジナル版「STRATUS」は、サウンド・メイクや録音技術上の面での古さは感じますが、演奏はメチャクチャ格好よかったです(^^)!
そして、トミー・ボーリン!文句なしッ!格好いいッ!テクニカルな部分とエモーショナルな部分とのバランスが絶妙で、聴いててワクワクしてきます(^^)。このアルバムへの参加によって、彼の名は業界で一躍有名になったのだそうですが、その理由がよくわかりました。
他の演奏を聴いていない状態でこうコメントするのは尚早かもしれませんが、このプレイを聴いてしまうと、その後の悲劇的な結末は残念でならない…。でも、このギタリストの演奏は聴いてホントよかった!
ミックス・バランスは別として(まだ言うか…^^;;)、さすが『名盤!』と言われる1枚だけあって、非常にテンションが高くアツ~い演奏をたっぷり聴くことができ、こういうのを聴くと「あ~!大音量でバンド演りてぇぇ~ッ!」なんて気持ちにさせられますね(^^)。
まだ“ フュージョン ”というジャンルの音楽がそう名付けられ確立される前に、様々なジャンルの垣根を乗り越えた音楽という意味で“ クロスオーバー ”なんて呼ばれていた時期があるのですが(そういえばこの呼び方、最近よく見かけますね…)、ちょうどそんな“呼称”はともかく、当時の様々な音楽を取り入れようと試行錯誤する“ごった煮”感とか、新しい音楽を生み出していこうとする“熱量”や“ワクワク感”が、全身にビシバシと伝わってくる1枚でした。
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