シャーロック・ホームズの愉しみ方 / 植村 昌夫 | jakeのブログ
- 先月中旬にまとめ買いしたホームズ関連本の1つです。

植村昌夫氏による「シャーロック・ホームズの愉しみ方」。
アマゾンでの評価が高く以前から気になっていた1冊だったので、書店の棚で見つけ迷わず購入しました。
前半は海外のシャーロキアン達の論文紹介(翻訳)、後半は著者による論文という構成になっている本書。
個人的には前半の海外のシャーロキアンたちによるホームズ論文の翻訳は、非常にワクワクしました。特に以前購入した漫画『シャーロッキアン!』の中に出てきた、ワトソンのミドルネームに関する論文にお目にかかれたことは嬉しかった!
ただ…
後半の著者自身による論文は、僕にとってはちょっとしっくりこないものでした。
例えばバリツに関する論文。内容的には非常に面白いのですが、「虚」と「実」の行き来が中途半端で、もう少し整理して書いてほしかったな…というのが正直な感想。
この本のウリ(?)とも言える“誤訳”についても、著者の「その時代の文化・社会情勢を理解した上で訳すべき」という主張については「なるほど…」と思うのですが、その指摘にあたって使用する表現が行き過ぎており大人気がない。著者が“誤訳”とした部分についても、そのストーリーを楽しむにあたって致命的な欠陥になる誤訳だと僕には思えず、著者の主張が素直に受け入れられいまま、後味悪く読了。
- 些細な部分でも大切にし、その本質を掴むことはホームズの流儀ですし、間違いに容赦なく切り込んでいくのもまた、ホームズ。そういう(かなり好意的な)見方をすれば、著者の着眼点や表現はホームズっぽいのかも…と思えなくもないのですが、でも、そういう流儀や容赦ない気切り込みというのは、“シャーロック・ホームズ”がやるから痛快なものに見えるのでは…と思うのですが。
そんな後味の悪さが強すぎて前半の愉しさが吹っ飛んでしまい、読み終えた達成感よりも、すっきりしない感のほうが残ってしまったところが、なんとも残念でした。
もっとも、僕自身もホームズを気取って(いい歳して…ねぇ…)行き過ぎた表現を使ってしまう傾向があるので(だからこそ他人のそういう傾向に過敏になってしまうのでしょう…)、「人の振り見て我が振り直せ」だな…なんて反省にもなりました。
シャーロック・ホームズの愉しみ方 (平凡社新書)/植村 昌夫

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