イシュタルの冥府下り  バビロニアのシュメール神話より | ピッピ 憩いの空間

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「イシュタルの冥府下り バビロニアのシュメール神話より」 by ピッピ


風車小屋シリーズ。

前回からえらく間があいてしまいましたが、続きいきます。



古代バビロニアにおいて、金星は「イシュタル」と呼ばれていました。

イシュタルとは、出産や豊穣につながる性愛の女神。

また、戦いの女神でもありました。


古代バビロニアの人々は、惑星の中で最も輝きを放つイシュタル(金星)を天の女神として崇拝していました。

毎日の出入りを記録し、宵の明星と暁の明星が同じイシュタルであることも知っていました。



イシュタルの恋人は、タンムズ。

農耕の神様であり、牧羊の神様・羊飼いでもあります。


この恋人タンムズの死を悲しんだイシュタルが、冥府までタンムズを追っていくことから話が始まります。



イシュタルは冥府の門にたどりつき、門番に中へ入れてほしいと頼みました。

冥府の女王にとりついだ門番から、女王アラトゥの言葉が伝えられます。

「天の女神であろうと、冥府の掟に従わねば通さぬ」


冥府の門は、全部で7つ。

門を通るたびに、イシュタルが身に着けているものをとられていきます。

第1の門では王冠を、第2の門では耳飾り。

第3の門では首飾り、第4の門で胸飾り、第5の門で腰帯。

第6の門で腕輪と足環、最後の第7の門では着ていた衣まではぎとられ、イシュタルは丸裸になってしまいました。


それでもイシュタルは全く臆することなく、冥府の女王アラトゥの前に堂々と立ち、恋人タンムズに会わせてほしいと言います。


死の世界の最下層に降り立ち、身に着けていたものをすべて失ってもなお輝きを放つ威厳と美しさ。


女王は嫉妬し、疫病の悪魔ナムタルに命じ、イシュタルの全身を病気の杖で打たせました。

さすがの女神も息絶え絶えになり、死を待つばかりとなってしまいます。




続く