幼稚園のころ好きだった女の子。


 年中さん:Sさん。

 年長さん:Nさん。


Nさんは、いま卒園アルバムを見てみても可愛い。小動物系。にこにこ。

これが「三つ子の魂百まで」ってやつ?ちがうか。



小学校低学年のころ。


通学路がいっしょだったHさん。

登下校が同じタイミングになったときに、ほんの十数分、話をすることが嬉しくて。


ハイライトはバレンタインデー。

バレンタインが間近に迫ったある日の下校中でした。

私は自然さを装って訊ねます。

  「もうすぐバレンタインだね」

  「そうだね」

  「誰かにチョコあげるの?」

  「うん」

数年後以降の私なら、この後例えばこんな風に言葉を繋いだでしょう。

 ・マジで!?義理でもいいから俺にも頂戴!!

 ・君にチョコをもらえるなんて、その人は幸せモノだね

 ・それが僕じゃなかったら、明日からどうやって生きていけばいいんだろう

いや、そもそも、こんな無粋な会話事態をしないでしょう。

しかし、あまりにも幼いHさんと私の会話はこうでした。

  「僕?」

  「うん」

  「・・・」

  「・・・」

数日後、私は人生初の本命(?)チョコをいただきました。

動物がモチーフの可愛いチョコでした。

すっかり舞い上がっていた私に、母親が世の理を説いてくれました。

  「チョコもらったんなら、3月14日にちゃんとお返ししなさいよ」

私がホワイトデーという風習を知った瞬間でした。


その後、Hさんと私の間に何かあったかといえば、なにもあろうはずも無く、3年生になる春のクラス替えで別のクラスとなり、なんとなく疎遠になっていきました。