それは真夜中、日付が変わって2月3日。
節分でした。

臨月に入るとなかなか寝付けないものですが、その日はいつもよりもなお寝付きが悪く布団の中でゴロゴロ寝返りばかりしていました。

その内にお腹が痛くなってきて、陣痛が始まりました。
陣痛の間隔が狭まってきたので、かかりつけの産婦人科へ。
予定日よりも10日も早いのに!

そこからしばらくは、子宮口が開くまで待ち、のはずだったのですが…。

その1ヵ月前くらいから、私は妊娠高血圧症候群になっていました。
妊娠前は上が100くらいだった血圧が妊娠中期から徐々に上がってきていました。
体重管理や塩分・水分の取りすぎに注意して生活していましたが、血圧が下がることはありませんでした。
病院から血圧計を借りて、毎日血圧を測って記録していましたが、130〜140くらいだったのを覚えています。

そして、陣痛が始まって病院に行った時は160以上になっていました。
しばらくすると、目の前に黄色と黒のチカチカが出て来る状態。

妊娠高血圧症候群になると、赤ちゃんに栄養や酸素が送られにくくなるそうです。
ひどい場合には、お母さんが痙攣を起こして母子ともに危険な状態になることもあるらしいです。
そのため、急遽帝王切開で出産ということになりました。

その時の心境は本当にグチャグチャ。

自然分娩したかったな。
でも、赤ちゃんが無事に生まれてきてくれたらそれでいい。
っていうか陣痛が痛すぎる。
どうせ切るんなら早く切って!

急な展開に頭も心もついていけませんでした。
何がなんだか分からないまま、とりあえず手術の承諾書にサインをしました。

覚えているのは、サインしている最中も陣痛がきていたこと。
そのせいで、上手く名前が書けずにミミズが這ったような文字になったこと。

かん腸をされ、剃毛をされ、いざ手術と思いきや…。
助産師さんに告げられた一言にガックリ。
「お昼休みまで待ってね」

午前中の診療が終わった後に、手術ということに。
えっ!
じゃあ、このまま数時間陣痛に耐えるしかないの?
これまで生きてきて一番の痛みなんですけど!
下から生むなら何とか頑張りますけど、結局お腹を切られるのにガーン
何のための陣痛なんじゃー!

今考えると、世の中のお母さんたちは本当に立派!
何時間も、いや、下手したら何日も陣痛に耐えて耐えて人間を文字通り「産み落とす」んですから!

たぶん私なんて、陣痛の「じ」か「ん」くらいまでしか味わってないはず。
それなのに、どうせ切るなら早く〜なんて考えていました。
まあ、帝王切開は帝王切開で後々地獄が待っていたんですけどね。
その話はまた今度書きます。
→書きました!

とにもかくにも、何とか病院のお昼休みになりました。
陣痛が始まってから半日近く経っていました。
ようやっと手術室に移動。

手術台に上がってびっくりしたのは、帝王切開って全裸でやるんだ!ってこと。
お腹を切るだけなのに一旦全部脱ぐんです。(後で手術着を着せられますが)
そして、横を向いて背中を丸くした姿勢で背骨の辺りから麻酔を入れてもらいました。

そうすると、それまで感じていた陣痛がすっと消えました。
さらに、冬の手術室ということもあり震えるくらい寒かったのがポカポカしてきました。
何だか変な感覚でした。
麻酔が効いているのかどうかの確認のために、氷を当てられるのですが冷たさを感じません。
尿道カテーテルを入れられても全然分かりません。

次に胸の辺りに目隠しの覆いが立てられました。
手術の様子が見えないようにという配慮ですが、実は私には見えちゃっていましたガーン

ちょうどお腹の真上にあった手術用のライトに写っていたんです。
ライトの周りの銀色の部分が鏡みたいになっていて、真下のお腹の様子が見えるという…。

まあ、全裸になる時に眼鏡も持って行かれちゃったので、はっきりと見えはしなかったんですが。
(でも、息子が生まれた後のお腹の様子は思い出してもちょっとホラーです。)

そんなこんなで、いよいよお腹が切られました。
すると、そこからはあっと言う間でした。
気付いたら先生が赤ちゃんの首根っこを掴んで取り上げています。

すぐに赤ちゃんの豪快な泣き声が聞こえました。
その瞬間、急な手術に緊張していた気持ちがふわっと軽くなって安心したのを覚えています。
長男ポンちゃんの誕生です。
その一瞬だけ眼鏡をかけさせてもらい、ポンちゃんを様子を見ることができました。

手足を縮こまらせ、顔を真っ赤にして泣いている姿は元気そのもの!
ただ、見るだけで触らせてはもらえなかったのが寂しかったです。

と思ったのも束の間、また麻酔をかけられました。
そして、寝ている間にお腹の縫合が済まされ、気付くと病室にいました。

目覚めると旦那のヤーマンが横にいました。
ポンちゃんは、2500gを切る低体重だったため保育器に入っているとのことでした。
でも、体重が軽いだけでとても元気だと聞いて安心しました。

ヤーマンは、手術室から出て来たポンちゃんを抱いた写真を見せてくれました。
よく、生まれたての赤ちゃんは「ホンコンさん」か「ガッツ石松さん」に似ていると言いますよね?
ウチのポンちゃんはガッツさん系でした(笑)

そのポンちゃんを抱いているヤーマンの目がウルウルしているのが笑えました!
ヤーマンは「ほっとしたんよ」と言い訳していましたが、あれは絶対泣いてたなニヤリ

急に帝王切開になったことで、私もビックリしたけれど旦那も不安になっていたのだと思います。
だから、赤ちゃんが無事に生まれてきて安心したんだろうなニコニコ

予定日よりも早かったことで、その年は恵方巻きを食べ損ねてしまいました。
今でも、節分が来るたびにポンちゃんには「君のおかげで恵方巻き食べられなかったよ」とネタにしています。

でも、いろいろあったけれど無事に生まれてきてくれたことに本当に感謝感謝キラキラ