*オー・シャンゼリゼ Les Champs-Élysées(歌詞フリガナ付)* | ミスター・ビーンのお気楽ブログ

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今日はフレンチ・ポップスの定番曲

≪Les Champs-Élysées レ・シャンゼリゼ≫



日本では、歌詞の中にあるAux Champs-Élysées(オ・シャンゼリゼ「シャンゼリゼ大通りでは」)を抜き出し、しかも意味不明にオをオーとのばして題名にしています(笑)

この曲、典型的なフランスの曲に聞こえますが、元はイギリスの曲。1968年、イギリスで発表されたロックで、元の題名は「ウォータールー・ロード(Waterloo Road)」。

これに、フランスの作詞家ピエール・ドゥラノエ(Pierre Delanoë)がフランス語の歌詞を作詞し、フランス在住のアメリカ人歌手ジョー・ダッサン(Joe Dassin)がシャンソンにアレンジして歌ったもの。

日本では、1970年のダニエル・ビダル(Daniele Vidal)版が大ヒットし、今でもTVコマーシャルなどでよく使われているようです。



ダニエル・ビダル


Les Champs-Élysées
Je m'baladais sur l'avenue
Le coeur ouvert à l'inconnu
J'avais envie de dire bonjour
À n'importe qui
N'importe qui et ce fut toi
Je t'ai dit n'importe quoi
Il suffisait de te parler
Pour t'apprivoiser


大通りをうろついてたのさ
イケイケ気分でね
挨拶したい気分だったんだ
だれでもいいから
それがたまたま君だったってこと
あることないこと喋ったけど
声をかけるだけで
君と仲良くなれたのさ


Aux Champs-Élysées
Aux Champs-Élysées
Au soleil, sous la pluie
À midi ou à minuit
Il y a tout ce que vous voulez
Aux Champs-Élysées


シャンゼリゼでは
シャンゼリゼでは
晴れていても、雨が降っても
お昼でも、真夜中でも
欲しいものは何でもあるんだ
シャンゼリゼでは


Tu m'as dit "J'ai rendez-vous
Dans un sous-sol avec des fous
Qui vivent la guitare à la main
Du soir au matin"
Alors je t'ai accompagnée
On a chanté, on a dansé
Et l'on n'a même pas pensé
À s'embrasser


君は言ったね、「待ち合わせてるの
いかれた奴らと地下室でね
ギター抱えて一晩中
歌っている連中よ」
それで僕もついて行ったら
歌や踊りのどんちゃん騒ぎ
キスすることさえ忘れちまった


Aux Champs-Élysées
Aux Champs-Élysées
Au soleil, sous la pluie
À midi ou à minuit
Il y a tout ce que vous voulez
Aux Champs-Élysées


シャンゼリゼでは
シャンゼリゼでは
晴れていても、雨が降っても
お昼でも、真夜中でも
欲しいものは何でもあるんだ
シャンゼリゼでは


Hier soir deux inconnus
Et ce matin sur l'avenue
Deux amoureux tout étourdis
Par la longue nuit
Et de l'Étoile à la Concorde
Un orchestre à mille cordes
Tous les oiseaux du point du jour
Chantent l'amour


昨日の晩は見知らぬ二人
でも今朝、大通りに出てみると
長い一夜の思い出に
すっかり酔いしれてる恋人同士さ
エトワール広場からコンコルド広場まで
大編成の弦楽オーケストラみたいに
夜明けの小鳥たちが一斉に
恋の歌を囀るのさ


Aux Champs-Élysées
Aux Champs-Élysées
Au soleil, sous la pluie
À midi ou à minuit
Il y a tout ce que vous voulez
Aux Champs-Élysées


シャンゼリゼでは
シャンゼリゼでは
晴れていても、雨が降っても
お昼でも、真夜中でも
欲しいものは何でもあるんだ
シャンゼリゼでは


(ミスター・ビーン訳)

〔お粗末すぎる誤訳〕
この曲は沢山の人が訳していますが、余りにもお粗末な誤訳が多数見られたので一言言わせてもらいます。それは、最初の二行。
原文は、

Je m’baladais sur l’avenue
Le Coeur overt à
l’inconu

先ず、典型的な誤訳例を3つ挙げておきます。
(1)僕は通りを散歩した
   知らない人に、心を開き

(2)僕は通りをぶらついていたんだ。
   見知らぬ人にも心を開きながら

(3)当て所なく大通りを歩いていたんだ
   知らない人でも大歓迎


三例ともl’inconnuを「知らない人」「見知らぬ人」、つまり英語ならstranger、別のフランス語で言い換えればétrangerの意味にとっていますが、これは全くの誤り。
確かに、inconnu(s)、inconnue(s)は可算名詞で「見知らぬ人」「赤の他人」の意味もあります。しかし、それならばこの文脈ではdes inconu(e)sとなり、定冠詞を付けて、しかも単数形でl’inconnuとなることはありません。
少しでもフランス語の語感が身についている人ならこんな誤りを犯すことはまずないでしょう。さらに、(1)ではm’baladaisという半過去形をまるで単純過去や複合過去のような訳をつけている。酷いものです。


では、l’inconnuとは何でしょう?
正解は「未知(のもの、のことがら)」という抽象名詞です。定冠詞は「その」という特定のものを指すのではなく、種類全体を示す「総称」の定冠詞。総称の定冠詞は可算名詞なら複数のles、不可算名詞なら単数のle、la、l’を用います。
例)
J’aime la musique. 私は音楽(全般)が好きだ。
J’aime les chats. 私は猫(全般)が好きだ。


仏仏辞典の定義と例文を見てみましょう。
inconnu (n. m.)
Ce qui reste mystérieux.
Ex.) En entrant dans la vie active, elle doit affronter l’inconnu ( contr. connu ).
(Larousse Maxipoche)

実社会に出れば、彼女は未知のことがらにも果敢に取り組まなければならない。

l’inconnu (n. m.)
Ce qui est incconu, ignoré ( quels que soient les formes, les causes et le domaine de cette ignorance ).
Ex.) L’attrai, la soif de l’inconnu.
  La peur de l’inconnu. (Petit Robert)

未知のものが持つ魅力、未知のものへの渇望。
  未知のものへの恐れ。

そこで、Le Coeur overt à l’inconuを直訳すれば、
「未知の(見知らぬ)ことにも心を開いて」つまり、「未知の(見知らぬ)ことにもひるまず、前向きの姿勢で」という意味になります。ここで言う「未知の(未経験の)こと」には「ナンパ」も入るということでしょう(笑)
つまり、初めてナンパに挑戦した話し手のラッキーな体験を歌っているということになります。

最後に英訳版を載せておきます。
I have walked along the avenue
The heart opened for the unknown


the unknown
things that you do not know or understand
Ex.) a fear of the unknown (Longman Dictionary of Contemporary English)


ご覧の通り、見事に正確な訳をつけています。ただし、I have walkedはI was walkingとするのが正解でしょう。


フランス語超初心者向きに、フリガナ付の歌詞を掲載しておきます。

但し、フリガナの発音とフランス語の発音は一つとして同じものはありません。

本格的に学習したい人は、先ず発音記号とその発音の仕方をしっかり学んでください。






口むろ母音 円唇後舌母音[u]

口むろ母音 円唇後舌母音[o]

口むろ母音 円唇後舌母音[ɔ]

ここまでの口むろ母音 円唇後舌母音まとめ[u][o][ɔ]



ジョー・ダッサン


ダニエル・ビダル


カラオケ(ジョー・ダッサン)(you tubeで見るをクリックしてご覧ください)