今日の日本の歌は、滝廉太郎の
「花」
1900年11月1日に刊行された歌曲集「四季」の第1曲です。元のタイトルは「花盛り」でしたが、第3曲が「月」、第4曲が「雪」であったため、「雪月花」にちなんで「花」に変更されたようです。因みに第2曲の題名は「納涼」でした。
ピアノ伴奏付きの女声二部合唱で、歌詞は武島羽衣によって作詞されました。当時は隅田川でボートレースが盛んでしたが、その情景も含め、春の隅田川の情景を歌った曲。
西洋音楽が導入されてまだ日の浅い日本で、素朴で軽やかなリズムに乗せて見事に美しい桜の情景を歌い上げたこの曲を聴くと、廉太郎の天才ぶりが窺がえます。
花
春のうららの 隅田川
のぼりくだりの 船人が
櫂(かひ)のしづくも 花と散る
ながめを何に たとふべき
見ずやあけぼの 露浴びて
われにもの言ふ 桜木を
見ずや夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳(あおやぎ)を
錦おりなす 長堤(ちょうてい)に
くるればのぼる おぼろ月
げに一刻も 千金の
ながめを何に たとふべき
下垣真希(ソプラノ)
小川明子(アルト)