*旅への誘い(デュパルク)* | ミスター・ビーンのお気楽ブログ

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好きな音楽の話題を中心に、気の向くままに書いていきます。

今日はまた久々に、フランス歌曲を取り上げてみます。
と言ってもこれも以前取り上げたことがあるので恐縮なのですが、

「旅への誘い L’invitation au voyage」

そろそろお盆休み、旅行に出かける方も多いとおもいます。私も
8日から16日ぐらいまで旅に出かける予定です。
まあ、そういう意味ではぴったりの曲ではないかと勝手に納得して
おります(笑)

この曲はご存知の方も多いと思いますが、作曲者はフランスのアンリ・
デュパルク
(1848~1933年)。
詩は、フランス象徴派の大詩人シャルル・ボードレールの詩集「悪の華」
の一篇です。

アンリ・デュパルク(Henri Duparc)はフランス後期ロマン派の作曲家
ですが、神経衰弱を病み作品の大部分を自ら破棄してしまいました。
残された作品は40曲足らず。しかし、その17曲の歌曲はいずれも珠
玉のような名作揃いです。

前回はフランスの名バリトン、ジェラルド・スゼーの歌唱をご紹介しま
したが、今回は1962年生まれのフランスのソプラノ歌手、ミレイユ・ドゥ
ランシュ
の歌唱を取り上げてみます。



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L’invitation au voyage           
Mon enfant, ma sœur,
Songe à la douceur
D’aller là-bas vivre ensemble!
Aimer à loisir,   
Aimer et mourir   
Au pays qui te ressemble!
Les soleils mouillés
De ces ciels brouillés
Pour mon esprit ont les charmes
Si mystérieux   
De tes traîtres yeux,
Brillant à travers leurs larmes.

Là, tout n’est qu’ordre et beauté,
Luxe, calme et volupté.


ねえ、愛(いと)しい君
想像してごらん
彼(か)の地で共に暮らす心地よさを
思うままに愛し合い、
愛し合いそして死んでいく
君の姿にも似た彼(か)の国で

あの霞んだ空に浮かぶ
潤んだ太陽は
不思議な魅力をたたえている
涙ごしに輝く
裏切りに満ちた君の瞳のような
摩訶不思議な魅力を



そこにあるのは、全てが秩序と美、
豪奢(ごうしゃ)と静けさ、そして悦楽



Vois sur ces canaux
Dormir ces vaisseaux
Dont l’humeur est vagabonde;
C’est pour assouvir
Ton moindre désir
Qu’ils viennent du bout du monde.
Les soleils couchants
Revêtent les champs,
Les canaux, la ville entière,
D’hyacinthe et d’or;
Le monde s’endort
Dans une chaude lumière.

Là, tout n’est qu’ordre et beauté,
Luxe, calme et volupté.


ごらん、あの運河に眠る
放浪の気分にあふれる
数々の舟を
君の抱くどんなささやかな願いをも
叶えるために
世界の果てからやって来たのだ

落日が
野原と運河と街の全てを
黄金色(こがねいろ)に、ヒアシンスの色に
染め上げていく
すると世界は
熱い光の中で
まどろみ始める


そこにあるのは、全てが秩序と美、
豪奢(ごうしゃ)と静けさ、そして悦楽

 
(私訳)