*ジョルジュ・ムスタキ (5) ー海が僕にくれたもの La mer m'a donnéー* | ミスター・ビーンのお気楽ブログ

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今日は久々にムスタキの歌を聴いてみます。
季節にちなんで

「海が僕にくれたもの La mer m'a donné」

1969年の曲で、発表当時の邦題は「海が名刺をくれた」でした。
出だしの2行を直訳した邦題だったわけですね。

詩の内容は、ある日海を見て思わず心誘われ、遠い異国の旅に出かけよう
と思っていた男が、海辺にしなやかに横たわる美しい女に心惹かれ旅のこ
となぞすっかれ忘れて恋に落ちていく、そんなお話ですね。

しかしそれが、例によってムスタキ独特の不思議でファンタスチックな表
現で語られると聴き手は何か異次元の世界に迷い込むような不思議な感覚
に襲われます。そこがまたムスタキの一つの魅力になっていますね。



La Mer M´A Donné
la mer m´a donné
sa carte de visite
pour me dire:" Je t´invite
à voyager.
J´ai de grands chevaux
à la crinière blanche
et puis j´ai dans ma manche
tant de bateaux.
J´ai du vent qui enivre
ceux qui veulent me suivre
dans l´illusion facile
de la douceur des îles.
Terres inconnues
où les filles les moins sages
vivent sur les rivages
à moitié nues"


海が僕にくれたんだ
彼女の名刺をね
そこにはこう書いてあった
「ねえ、旅をしてみない?
私には 白いたてがみの
大きな馬がいるの
それに、自由に使える船も
山ほどあるわ
人を酔わせる風もある
心地よい島暮らしを気楽に信じて、
私の後についてくる
そんな連中を酔わせる風よ
未知の大地ね
その浜辺では
大胆な娘たちが
半裸の姿で暮らしている」


la mer m´a donné
une carte du monde
mystérieuse et ronde
comme un galet,
mais je t´ai trouvée
étendue sur le sable
fragile et désirable.
Je t´ai désirée.
Plus belle qu´un voyage
plus douce, plus sauvage
plus calme et plus cruelle
que la mer qui m´appelle.
Dans tes yeux ouverts
le ciel était bleu tendre
tu m´as laissé te prendre
comme on prend la mer,
comme on prend la mer.


海が僕にくれたんだ
世界の地図を
不思議な地図で
小石のように丸い地図だ
でも僕はおまえを見つけた
砂浜に寝そべり
華奢でセクシーな姿を見つけた
僕はお前が欲しかった
旅よりも麗しく
僕を呼ぶ海よりも
優しくそして野性的な
静かでしかし残酷なお前を
お前の瞳に映る空は
柔らかな青だった
お前は僕に身をまかせた
まるで海のように
まるで海のように


(私訳)

≪フランス語のポイント≫

第1連
carte de visite : 名刺(日本のものより大判でメッセージを書き添える)
inviter 人 à 不定法 : 人に~するように誘う、促す
avoir qulqu’un dans sa manche : en disposer à son gré pour en obtenir quelque chose 人を意のままにする

第2連
carte du monde : このcarteは「地図」
désirable : qui inspire un désir charnel 欲情をそそる、セクシーな
prendre la mer : quitter le port 出港する