

フェンスの金網の向こうに見えた人影、それは旅支度を整えた
マリアの姿でした。
喜んで駆け寄る二人。
二人が抱きあった瞬間、二人の背後から銃声が響きます。
物陰に隠れていたチノがトニーの腹を撃ったのです。
抱きあったまま崩れ落ちるトニーとマリア。
地面に横たわるトニーにマリアが語りかけます。
Tony:
I didn't believe hard enough.
Maria:
Loving is enough.
Tony:
Not here. They won't let us be.
Maria:
Then we'll get away.
Tony:
Yeah. We can.
Maria:
Yes.
Tony:
We will.
Maria:
Yes.
(sing)
Hold my hand
And we're halfway there
Hold my hand
And I'll take you there
Somehow
Someday
Some...
トニー:
信じ方が足りなかったんだね。
マリア:
愛があれば十分だわ。
トニー:
ここではだめだ。周りが思う通りにはさせてくれない。
マリア:
それなら、ここを離れましょう。
トニー:
そうだね。できるよね。
マリア:
できるわ。
トニー:
離れよう。
マリア:
ええ。
マリア(歌)
私の手を握って
もう、すぐそこよ
私の手を掴んで
私が連れて行ってあげる
どんなことをしても
いつか
その…
そして、トニーはマリアに抱かれたまま静かに息をひきとります。
銃声を聞いて集まり、トニーが殺されたのを見て立ち去ろうとする
ジェッツとシャークスの少年たちに、マリアは激しい口調で呼びか
けチノから拳銃を受け取ります。
Maria:
You all killed him. And my brother and Riff.
Not with bullets and guns. With hate!
Well, I can kill too because now I have hate!
How many can I kill, Chino? How many?
And still have one bullet left for me?
....
No!
マリア:
あんたたちみんながトニーを殺したのよ! それに私の兄さんとリフも!
銃弾で殺したんじゃない、憎しみで殺したのよ!
ふん、私にも殺せるわ、今は私も憎んでいるから!
ねえチノ、この銃で何人殺せる? 何人?
でも最後の一発は自分用よ!
・・・
ダメだわ! 私にはできない!
マリアが拳銃を投げ捨て、その場に泣き崩れるとシュランク警部補
がそれを拾い、トニーの亡骸に近付こうとします。
Don't you touch him!(彼にさわらないで!)
マリアは激しくそう叫ぶと、トニーの亡骸に覆い被り、トニーと最
後の別れの口づけを交わします。
Maria
Te adoro, Anton.
マリア:
テ アドーロ、アントン(愛しているわ、アントン)
ジェッツから三人の少年がトニーに近付き、その亡骸を運ぼうとしますが
うまくいきません。
そのとき、敵対していたシャークスの二人の少年が亡骸に近付き、5人は
静かにトニーの亡骸を運んでいきます。
そして地面に座り込んでいるマリアに、ジェッツの少年がかたわらに落
ちていた黒いスカーフを拾いそっとマリアに被せます。
(ミスター・ビーン訳)
「ウエスト・サイド物語」のレポートはこれで終了します。
拙いブログを読んでくださった皆さんに、心から感謝いたします。
このミュージカルは、歌と踊りも素晴らしいのですが、いわれない憎しみが
いかに悲劇を生むかということを見事に伝えてくれています。
今でも地球上では、人種や宗教の違いが原因でいわれない憎しみが満ち満ち
ており、それによる悲劇が絶えません。
「ウエスト・サイド物語」が伝えてくれたメッセージは今なお色あせること
はないと言えるでしょう。