おたかって言うんだ 宜しくなっ

 

 あっ おたかさんっ

 

 は~ん・・

 

 く・・

 

 ふーーーん・・

 

 へっ!

 

 まあロクでも無い生活を送って来た

 んだろうから ロクでも無い物が付いてても

 おかしく無いわな

 

 ちょ・・ちょっと おたかさん

 

 貴様・・

 

 

 おい調子に乗るなよ

 俺は女だからって容赦はしないぞ・・

 

 バカ野郎 それはこっちのセリフだ

 

 女だからって甘くみてんじゃねぇぞ・・

 

 なんだと・・

 

 

 ちょっと止めてくださいよー 二人共

 

 さあさ たくろう様 行きましょう

 

  どうぞこちらへ 長旅でお疲れでしょう

 

 まいりましょう

 

 さあさ

 

 

 

 この女性の名はおたか 在家でありながら

 霊能力者(シャーマン)である

 顕密二教を習得し 六道を見渡せるその神通力は

 宗派を超えた存在だった

 

 

 どう見ましたか・・

 

 ああ・・そうだね・・

 

  確かに 邪悪な物しか感じないね・・

 で、間違いなく魔が あいつの体に巣窟してるね

 

 それも かなり大きな魔がね・・

 

 ただ・・それも含めて おかしな事が

 二つある

 

 おかしな事・・?

 

 ああ・・で まず一つは・・

 なぜ それほどまでの強大な魔がこんな小僧に

 取り入ったのか・・

 

 こんな小僧に取り入る訳があったのか・・

 それが何か意味があるのか・・と言う事・・

 

 そして もうひとつは・・

 

 何故あいつが この場所に来たかって言う事だ

 

 ええ?どういう事ですか

 

 魔は寺社仏閣を嫌がる だからここへ来る事など

 ありえない なので伊助さんの申し出を必ず

 断る筈だ

 

 え・・でも あの男は・・

 

 ああ・・伊助さんの申し出を受けて

 ここに来た・・

 

 ここは釈迦如来が居わす場所 そんな所へ

 来ようとする魔など・・ありえない

 普通では考えられない・・

 先程 あいつが仏に反応して苦しんだのが

 いい証拠だ

 

 だから仏が居る場所に来る

 そんな魔など居る筈が無い・・

 

 

 いや・・居た・・

 

 釈迦のおわす場所でも 取り入ろうとする

 魔が居た・・

 

 釈迦の成道を あらゆる手段を使って

 妨げようとした魔が居た・・

 

 も・・もしや それは・・

 

 第六天の魔王・・

 

 た・・・他化自在天・・

 

 第六天の魔王とは

 欲界[よっかい]の第六天にいる他化自在天[たけじざいてん]のこと。

 釈尊が覚りを開くのを妨害したといわれ、三障四魔の中の天子魔[てんしま]とされる。

 

 

 

 これは一つの仮設だが あのたくろうと

 言う男が将来 大賢人、大導師になる器だとして

 それを魔が阻止しようとしているのなら

 話のつじつまが合う

 

 な・・なんと・・

 

 それ程の事ならば 魔がこの場所へ来た 

 と言う理由にはなる・・が・・しかし どうも

 それだけでは無いような気がする・・・

 

 あいつには まだ何かある・・

 

 それもこれも明日になれば解るだろう・・

 

 へっ・・こりゃもしかして

 命懸けかもな・・

 

 

 

                    続く