この中の一本です。
１９５７年制作 成瀬巳喜男監督 徳田秋声原作 モノクロ
キャスト
お島：高峰秀子 鶴さん：上原謙 浜屋：森雅之
小野田：加藤大介 木村：仲代達也
お島の父：東野英治郎 母：岸照子
兄壮太郎：宮口精二
中北千枝子 田中春男 千石規子 志村喬
中村是好 沢村貞子 賀原夏子 丹阿弥谷津子
もの凄い豪華キャストで、上原謙と森雅之が
共演してるんです！
物語は、上原謙の後添いに秀子さん行くんです。
秀子さん扮するお島は物凄い気が強い女で、
上原謙扮する亭主の女出入りの激しさに
怒り心頭で、自分が妊娠したことを告げると
前の亭主の子供だろ！と言われて、
我慢が切れて取っ組み合いの喧嘩になり
お腹を蹴られて流産して、実家に戻ります。
上原謙に愛想つかして家を出て行く秀子さんの
顔つきすごいです！上原謙のダメ男ぶり、
陰険ぶりが目立ちます。
今度は植木の商売をする兄について、東北の
寒村の旅館で働くことにします。
この旅館の若旦那と、すぐ関係を結びます。
ところが、この若旦那には、肺病で療養中の
妻がいて、治って帰ってくることになり
また、実家に戻るんです。
父親の東野英治郎は今度は、お島を
洋服職人の加藤大介と内縁関係だけど
一緒にさせるんですね、この時代女は誰かと
結婚してなきゃいけない時代だったんでしょうか（笑）
この時のお島は凄いやる気で、ミシンを買い
洋服屋のチラシを配って歩く姿が可愛かったです。
つぶれかかった、小野田洋服店は、お島の
頑張りで、持ち直したものの、加藤大介の
父親が病気がちで同居することになり
酒飲みの老人にお島みたいな、あらくれな
嫁は気に入らず、またしても、夫婦喧嘩が
はじまります、秀子さんと加藤大介の喧嘩が
一番凄かった！噛み付いたり、ホースで
水かけたり、セリフも雑言のやりとり、
なんだか、コントみたいで笑ってしまいます。
お島にはかなわないと思った加藤大介は
女を囲います。ある時人力車で出かける夫を
見つけた、お島は、別の人力車で跡をつけます。
今ならタクシーでしょうが、この時代は人力車
全盛だったんですね、
その家を見つけ、乗り込んでいく秀子さんは
怖かったですよ、加藤大介は靴だけ持って
命からがら逃げて行っちゃいました。
残された女二人、ぶったり、蹴ったり、
引っ張ったり、踏んずけたりの大喧嘩
最後は喧嘩慣れしてるお島さんの勝ち！
加藤大介にも愛想つかして、途中雨が降ってきて
傘を買いそこから店に電話して、職人の
仲代達矢を呼び出して、待ち合わせの連絡取り、
雨の中、着物が濡れないようぎゅーっと、腰まで
はしょって、長じゅばん姿で、飛び出して行く
様は、傑作なシーンでした。それにしても
秀子さんに絡む男性が揃いもそろって
ダメ男ばかり、でもそういうダメ男に秀子さん
ぴったりなんですよ。
仲代達矢とどうなるのか分からないまま
終わります。”あらくれ”傑作な映画でした。