名古屋市美術館で開催中の、『没後90年記念 岸田劉生展』に行ってきました。

zipfmのHigh!MORNING!で当選したペアチケットで。(ありがとうございます!)

重要文化財の『麗子微笑』が2月16日(日)までの期間限定公開だと聞いて、慌てて。

 

入口のフォトスポット。

ここの左側に麗子になって撮るスポットもありました。

え?意味がわからない?

行って確認してくださいませ(笑)

 

しりあがり寿さんの絵があちらこちらに。グッズも売られていました。

 

岸田劉生について詳しく知らなかった私。有名な絵だし見ておきたいな、くらいの気持ちで行ったのですが、なんのなんの。

これは、行ってよかったです。日曜日の13時ごろに行って、自分のペースで見ていけるくらいの混み具合。並ぶ必要がないのはよいですね。

 

誰に影響されて、どんなタッチになって、どう自分の絵を確立していったのか、系統立てて展示してあって、とてもわかりやすかったです。影響を受けたことがわかりやすい絵なんです、これがまた。それだけの力があるということですよね。

 

水彩も日本画も油絵もありましたので、絵画が好きな方ならどなたでも楽しめるかと思います。

岸田劉生の絵が、近隣の美術館にも所蔵されていたということも初めて知りました。(愛知県美術館、刈谷市美術館、豊橋市美術博物館、岐阜県美術館、豊田市美術館、メナード美術館。)

麗子の絵がたくさんあるのはご存知かと思うのですが、劉生の画力も上がっているけれど、麗子のモデルとしての能力も上がっていると思いました。並べられているのを見ると、一目瞭然。もちろん画力があるからこそ、それが伝わるのだと思うのですが。

私が今回いちばん衝撃を受けたのは『麗子坐像』です。あの絞りの着物の質感はすごすぎます。印刷されたものでは絶対に伝わらないと思います。

もちろん『麗子微笑』のショールや肌の質感の描写も素晴らしかったのですが、入り口から見てきての『麗子坐像』に私の心は完全に持っていかれたのでした。(上から2枚目の写真の、自画像の左の絵です。)

 

有名だから見ておくか、くらいの気持ちで原画を見に行って私が衝撃を受けて好きになった画家は、ゴッホとピカソなのですが(わかりやすいな、私)、そこに岸田劉生も入りました。劉生が影響を受けた画家を考えたら、当然といえば当然なのですが。(ピカソは関係ないな。)

 

とはいえ、油絵だけでなく、水彩画と日本画もとても素敵でした。

通して鑑賞したことにより、岸田劉生の創作に対する苦悩の様子がダイレクトに伝わってくるレイアウトでした。

絵画でなくても、創作に対して迷いがある人は、この展示を見ると少しもやが晴れるかもしれません。私はそうでした。

 

知らなかったのですが、有島武郎とも交流があったのですね。

芸術の世界と文学の世界。苦悩するところは同じだろうな、という気がします。

素晴らしいものがたくさん生み出された時代だったのですね。

 

関東大震災や満州のときの話も出てきて、いつもなら遠い話だと思ってしまうのですが、『いだてん』を見終わったばかりの私には、近い事実としてその出来事が迫ってきて、なんとも言い難い心情になりました。

 

当時の劉生たちの写真も展示されていました。

とにかくすべての展示が私の感情を揺さぶってきました。

見るべくして見たという印象です。タイミングよかったと思います、我ながら。

 

行こうかどうしようか迷われているのなら、悪いことは言いません。

絶対行くことをオススメします。

もしあまり心に響かなかったのなら、今後私のオススメするものはあまり信用しないほうがいいかもしれません。好みが違うということなので。(それはそれとして、仲良くしてくださいね。)

 

美術の教科書にも載っていたのに、今まで軽く見ていてごめんなさい。天国の劉生さん。

 

どうでもいいけど書き忘れたので追記。

自画像も何枚かあったのですが、どれも私には自撮り風に見えてしまったのは、どうしてでしょう。アングルでしょうか。

ゴッホの自画像ではそう感じないのに。

距離感でしょうか。それとも目線、ですかね。

ゴッホは大きな鏡を見て描いている気がするのですが、岸田劉生は手鏡を見ている気がするのです。あくまで私の印象。

この思いを、どなたか共有して頂きたいものです。