パラレルワークの強みを生かし、
コンサルティングを通じて
事業マネジメントを推し進めます。
荒井竜哉です。
昨日の日経平均の終値は3万0858円、
前日比161円高と反発しました
日銀が金融政策を決める会合で
長期金利の上限の目安となっていた1%を
一定程度超えることを認めることを発表し、
事実上の利上げとなりました。
これを受け、長期金利の指標となる
10年物国債の利回りが上昇しています。
通常、金利が上昇すれば
そのリスクが高くないと判断されれば
その通貨の魅力が高まります。
ところが円高ではなく円安になり、
市場は困惑したようです。
理由は米国の長期金利との差が埋まらず、
円よりもドルが強い状況が変わっていないため
と見られています。
にも関わらず株価が上昇している背景には
円安の継続により
輸出関連企業の業績拡大が
期待できることに加え
インバウンド需要の追い風にもなることが
挙げられています。
10/3、千葉県内のファミリーマートに限定して
発売された「ミルクの束縛」というミルクコーヒー。
画像:PRTIMES
古谷乳業という
千葉の老舗乳業メーカーと
神奈川でITやデザインのサービスを提供している
カヤックという会社が協業して
開発された商品です。
「コーヒー牛乳」ではなく
「ミルクコーヒー」という名前にあるように
ミルク(生乳)が75%使用されており、
主役がミルクであることが売りの商品です。
発売から1ヶ月経ったのですが、
これが人気で想定の2倍の売上となり、
11月28日からは都内のファミリーマートでも
発売する予定だそうです。
この商品の成功について
前述の記事では
その要因がいくつも解説されています。
例えば商品そのものでみれば
コーヒー牛乳といえば
この商品を思い出す人が多いと思います。
認知度が高く、130円と低価格で
多くの人が手に取る商品です。
ただ、生乳が多く含まれているわけではありません。
調査において20-40代の男性が
ミルクの品質や量を重視する傾向を確認しており、
そこにニーズがあると捉えたようです。
画像:PRTIMES
前述の記事で古谷乳業の事業開発部長は
ジュースは果汁100%などで選ぶが、
コーヒーはブランドなどで選ばれがち。
果汁のように生乳の量で選ばれるようにしたい
引用:日本経済新聞
と話されており、
おいしくて選ばれる商品づくりをしています。
他の成功要因としては
「ミルクの束縛」という尖ったネーミングや
「生乳、珈琲、砂糖、以上。」
「酪農発祥の地、千葉」
といったメッセージをパッケージに乗せて
広告媒体としても機能させ、
さらにベース色を変えて
人目を引く工夫がされていること
などが挙げられています。
画像:PRTIMES
ただ、これらの成功要因は
マーケティングやプロモーションの域を出ません。
これらだけで本当に成功したのでしょうか?
私は、もっと考慮すべきことがあると思います。
先の記事で注目したいのは、
古谷乳業は4月に
同じ中身で1リットルの商品を
量販店で販売したが、
パッケージに訴求力がなく、
売れ行きも良くなかったという。
パッケージを変えた商品の売り上げは、
金額で当初想定より2倍になったという。
という記述。
注目すべきはパッケージだけではないでしょう。
こういった飲み物を
男性が購入する場面を想像すると
量販店で購入して職場や自宅に置いておく、
ということは少なく
職場や学校など、
出先で購入して飲み切るのがほとんどでしょう。
内容量を1リットルから
飲み切りやすい500mlに変え、
販路を量販店から
買い求めやすいコンビニに変えたことは
大きな成功要因だと思います。
加えて「千葉」というエリア。
「ミルクの束縛」と同じように
生乳にこだわった商品は他にもあります。
代表的なものが「白バラコーヒー」
画像:白バラ牛乳
製造されている鳥取では多くのお店で売られています。
また関西でも20年以上前から
セブンイレブンで売られているので
関西人の私にとっては
あまりめずらしいものではないのですが
関東の人は手に入れるのが難しく、
ネット上では
「伝説のコーヒー牛乳」
とも言われているそうです。
その成分を見ると
生乳は「ミルクの束縛」が75%で
「白バラコーヒー」の70%を上回っています。
他の原材料を見ると、
「ミルクの束縛」の方が
生乳、砂糖、コーヒーとシンプルです。
ミルクの束縛
画像:古谷乳業
白バラコーヒー
画像:白バラ牛乳
つまり、
中国・関西エリアで十分な人気があり、
関東圏では
「伝説のコーヒー牛乳」と言われて
渇望されるほど需要があるにも関わらず、
商品が供給されていない空白地帯。
そこへ高スペックかつ
確かな商品が販売されれば
売れない理由がありません。
物流の2024年問題などで
今後もますます物流コストが上がることが
確実視されており、
白バラコーヒーがこれから
関東圏に進出することは難しいでしょう。
これらを踏まえると
単なるマーケティングやプロモーションだけでなく、
全方位的な戦略的な商品展開だと思います。
このような視点を持って展開するには、
商品を構成する
商品そのもの(Product)、
価格(Price)、
販路(Place)
販売促進(Promotion)
いわゆる4Pを考慮し、
さらにニーズや競合を分析することが
重要になってきます。
戦略的商品展開を学ぶのに
「ミルクの束縛」は
うってつけの教材だと思います。