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コンサルティングを通じて

 

事業マネジメントを推し進めます。


荒井竜哉です。

 



 

「割のいい仕事」に当たらない?公的事業の魅力

 

 

もう10年以上前になりますが

 

公的事業のコンサルタントをしていたとき

 

公の施設、

 

たとえば行政が設置した

 

スポーツセンターだとか

 

コミュニティセンターだとか

 

公園だとか福祉施設だとか

 

いろんな施設のさまざまな支援に

 

携わらせてもらいました。

 

 

 

こういった公的事業の仕事は

 

税金が投下されていることもあり

 

「成長への投資」

 

というよりも

 

「コストをいかに抑えるか」

 

という側面が強く

 

いわゆる「割のいい仕事」には

 

当たりづらいかもしれません。

 

 

 

それでも私が

 

公的事業に魅力を感じていたのは

 

 

 

限られた資源や制約で

 

地域の役に立つために何ができるか

 

 

 

ここに知恵を絞ることで

 

少しでも多くの人の役に立てる事業を

 

支援できるからです。

 

 


設置された当時からすると

 

多くの施設を取り巻く社会情勢は

 

大きく変わっています。

 

 

 

利用者となる人口は減り

 

高齢化が進み、

 

単身世帯が増え、共働きが増え、

 

子供を持たない世帯も少なくありません。

 

 

 

「失われた10年」と言われた

 

バブル崩壊後の停滞は、

 

いつの間にか30年になりました。

 

 

 

他方、施設は老朽化

 

ますます利用されにくくなっていきます。

 

 

 

それでも、

 

病院の待合い場所が

 

地域の井戸端会議の場になるように

 

 

 

公的事業やその施設が

 

居場所として欠かせないこともあります。

 

 

 

特に福祉分野では利用者数の多寡に関わらず

 

確実に必要とする人がいます。

 

 

 

営利目的でなく、

 

費用対効果が算出しづらい公的事業は、


必要とする人がいる以上、

 

当初の事業目的を失ったわけでもなく

 

簡単に廃止するわけにもいきません。

 

 

 

このような制約下では、

 

いかに効果的に事業運営するか

 

腕の見せ所になります。

 

 

 

 

 

民間企業の進出が著しい公的事業

 

 

公的事業を行う施設の管理運営は

 

民間企業の進出が進んでいます。

 

 

 

公的事業を行政だけで立ち上げるのではなく

 

民間企業と協力して

 

事業の立ち上げ、運営を行う

 

「PFI制度」

 

 

 

出所:鹿島建設

 

 

 

 

 

この形式をとる事業は

 

コロナ禍では減少したものの

 

着実に伸びています。

 

 

 

出所:内閣府

 

 

 

 

 

またすでに設置されている施設の事業運営も

 

民間企業に開かれています。

 

 

 

行政が管理者を委託するのではなく

 

管理候補者からの提案内容から選定する

 

「指定管理者制度」

 

 

 

この制度の導入施設は年々増え、

 

今ではその半分以上は

 

民間企業も参入できる

 

「公募」

 

となっています。

 

 

 

出所:経営総研

 

 

 

 

地域の課題を解決するのに

 

民間企業の力

 

より求められる時代

 

になってきました。

 

 

 

 

 

「地域還元」「従業員還元」という視点

 

 

人口が減り、市場が縮む日本では

 

利益は少ないものの

 

確実な収益が見込める公的事業を

 

リスクの小さいビジネスチャンス

 

と捉える向きもあります。

 

 

 

ただ、このような思想の企業が推進する事業で

 

本当に地域が活性化できるとは思えません。

 

 

 

どうしても少ない利益を

 

減らさずに確保することに躍起になり、

 

地域への投資や従業員への投資を抑え

 

「経費節減」に意識が働くためです。

 

 

 

やはり、地域の活性化に本気の企業でないと

 

効果的な事業運営は難しいと思います。

 

 

 

先日、そんな公的事業に

 

本気で地域活性化に取り組む企業が

 

新聞で取り上げられていました。

 

 

 

街活性室という企業です。

 

 

 

 

 

 

公的事業は

 

税金によって運営され

 

しかも社会的に責任の重い仕事を担っているため

 

「すみません、失敗しました」

 

では済まされず、

 

実績安定性が強く求められます。

 

 

 

そんな事業領域でありながら

 

同社は着実に成長しており

 

創業から8年目となる今期は

 

売上高4億円を計画しているそうです。

 

 

 

地域課題を解決するために

 

起業した同社の社長は

 

その成長要因として

 

「地域や従業員への還元を

 前面に打ち出してきたことが評価された」

 

と記事で答えています。

 

 

 

記事では「地域還元」の例として、

 

設備が老朽化し利用者の少ない音楽室に

 

自社資金でスタジオ設備を導入したことが挙げられています。

 

 

 

ホームページをみると、

 

マーシャルやローランド、ヤマハといった

 

有名メーカーの設備が整っていて

 

これなら利用希望者も増えそうです。

 

 

画像:白岡市コミュニティセンター

 

 

 

 

 

 

記事にはありませんでしたが

 

同じ運営施設では

 

コロナ禍で需要の高まった

 

コワーキングスペースを設けています。

 

 

画像:白岡市

 

 

 

 

通常、管理者が勝手に

 

このような施設の目的外利用を行うことは

 

許されません。

 

 

 

条例や附則などの改正が必要になり、

 

議会での決議が必要だったりするので

 

簡単に見えることでも

 

とてもハードルが高かったりします。

 

 

 

ただ、このコワーキングスペースは

 

「談話室」という

 

条例で利用の定めのないスペースを生かしたことで

 

条例改正を経ずに

 

うまく運用で対応したようです。

 

 

 

ニーズに合わせた柔軟な対応ができるのも

 

「地域還元」の視点

 

があるからだと思います。

 

 

 


 

また「従業員還元」の例として

 

記事では

 

従業員への給与配分を多く振り向けており

 

社長よりも高い従業員もいることが

 

取り上げられていました。

 

 

 

「利益は少ないけどリスクの小さいビジネス」

 

と捉えている企業では

 

決してできないことだと思います。

 

 

 

 

 

公的事業における、民間企業への期待

 

 

同社は

 

地域還元に利益の1/3、

 

従業員還元に利益の1/3、

 

残った1/3は自社の内部留保

 

に充てているそうです。

 

 

 

公的事業ならではの三方よし

 

ともいえそうです。

 

 

 

よく「民間」とか「公共」といった具合に

 

事業を大きく2つに分ける場面を見聞きしますが、

 

 

 

同社の経営姿勢や事業の発展をみていると

 

課題を解決して事業価値を高めていくために

 

「成長への投資」という視点は

 

民間であっても公共であっても

 

欠かせないことがわかります。

 

 

 

同社が先のコミュニティセンターの事業提案で

 

売上高1000億円規模のシダックスグループ

 

とのコンペに勝つのもうなづけます。

 

 

 

「地域活性化への本気」と

 

だからこその「成長への投資」

 

 

 

民間企業が公的事業で期待されているのは

 

この2つではないでしょうか。

 

 

 

 

荒井 竜哉

パラレルワークで経営と現場の両面からマネジメントを支援します。

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