パラレルワークの強みを生かし、
コンサルティングを通じて
事業マネジメントを推し進めます。
荒井竜哉です。
ファミレス大手のすかいらーくHDが
収益構造の見直しを進めています。
以前もスマートフォンを使ったテーブル決済で
人材不足に対応するとともに
人件費を抑えることを発表していましたが
これ以外にも
不採算店舗100店の閉店、
営業時間の30分~1時間繰り上げ、
などを決めています。
在宅勤務などで外出する人が減り、
会食自粛で外食する習慣が減り、
自宅で食事をする習慣が浸透すれば
当然、日常的な食事がメインの
ファミレス利用者は減ってしまいます。
こういった習慣変化に対応してきた結果、
すかいらーくの売上の約1/4は
テイクアウトが占めるようになり、
出所:すかいらーく決算資料より作成
その結果、客席や厨房など、
店内飲食において店舗の利用効率は
コロナ前の半分以下になっています。
出所:同上
このだぶついた固定資産を活用しようと
さまざまな取り組みをしてきたものの
コロナ禍以降の習慣変化の影響は大きく
コロナ前である2019年の売上と比べると
好調なときでも80%程度が続いています。
出所:すかいらーくHD
さすがにこれまでと同じように
固定資産を抱えたまま
営業を続けていくのは難しい
という判断が
冒頭の収益構造の見直しの取り組みにつながっています。
ただ、
ファミレスが資産効率を高めようとすればするほど
そこで得られる「外食ならでは」の体験価値が
差別化できずに弱まっていきます。
卓上のタブレット注文、
ロボットによる配膳、
卓上でのキャッシュレス決済。
この方向で進化すればするほど
ただただ、運ばれてくる料理を食べるだけになり、
顧客離れが進みかねず、ジリ貧です。
そこですかいらーくHDは
こういった効率化を進める一方で
キャンペーンを通じて
「外食ならでは」の体験価値を高めようと
しているように思います。
たとえば
これまでのガストのキャンペーンでは
見かけることがなかった
「グルメ旅行」気分のご当地麺キャンペーン
画像:すかいらーくHD
しゃぶ葉では
「父の日」飲み放題キャンペーン
など。
画像:すかいらーくHD
以前のように季節感のみをアピールした
季節メニューだけではなく
顧客の嗜好やイベントと絡めたキャンペーンが
目に留まるようになりました。
また業態転換も進んでいます。
不採算店の閉店が進む一方で、
高原リゾートをイメージし、
木の香りがただようカフェ
「むさしの森珈琲」や
画像:すかいらーくHD
ハワイ・リゾート気分を楽しめる
「ラ・オハナ」など
画像:すかいらーくHD
テーマ性をもったブランドへの転換を進めていて
こういった店舗が徐々に増えつつあります。
これから数年後には、
ファミリーレストランが提供するものは
大きく変わってくるかもしれません。
その過程にあるすかいらーくの取り組みは
ロボットなどの効率化の方法だけでなく
顧客への提供価値をどう変化させていくかも
参考になると思います。