「ウルトラQを観ていると色を感じる」という話を記憶している。
学生の頃読んだ雑誌だったか、最近Twitterでもそんな投稿を読んだ気もする。
とにかく学生の頃にそれを記憶した。
ウルトラQは白黒(モノクロ)作品で、それゆえ現在視聴するにあたってそこがネックになると主張する視聴者も多くいると思う。それに対する個人の意見、といった趣がある。
ようは「モノクロ作品ナメるなよ、ウルトラQは凄いぜ面白いぜ!」ということを最終的に伝えたいのであって、決して"モノクロ映像から色を想起し視認できる特殊能力凄いだろ"という話ではないはず。しかし学生の頃の自分は妙なドツボにハマってしまった。
「ウルトラQを観たとき色を感じるくらいにならないとファンとしてはまだまだなんだ…」と。。
割と近年まで心の底の方に横たわっていた呪文なのだが、これが近年になって そうでもないか、、と思えるようになった。
それは自分が見てきたホラー映画の存在によるものだ。
「ジョジョの奇妙な冒険」作者:荒木飛呂彦先生に影響された僕は新しいものから古いものまでお勧めされたホラー映画を片っ端から見ていった。ホラー映画は面白い 自分の場合は洋画に限るけど。徐々に迫り来る恐怖が興味を尽きさせない。多くの作品が、お化け屋敷のような"怖いものが次々飛び出してくる"スタイルではなく、ストーリーやキャラクターの心情の移ろいに合わせてリズム良く恐怖を提供してくる つまりサスペンスの色合いが強かった。そして主人公たちが怪物やら悪魔やら殺人鬼やら、この世の不条理の権化みたいなやつらに立ち向かっていく! これは熱くならざるを得ないというわけ。。
前置きが長くなったけど(前置きだったのか)、面白くてホラー映画を何本も見ていたら やけに画像の粗い作品に出会うことがあった。あえて昔の古いフィルムで撮ったような画質の粗さ。これがまた怖い。
ホラー映画の舞台として、真っ青な海を眺める明るくて真っ白なホテルより 山奥の小汚くて薄暗いモーテルの方がやっぱり視覚的に怖く感じる。めちゃくちゃクリアで綺麗な画質より粗くて暗闇に何があるかハッキリ見えないほうが怖い。語弊があるかもしれないけど"視覚効果"って言えるのかもしれない。
ウルトラQのモノクロの映像は、そんな視覚効果があると思う。
僕にはやっぱりウルトラQを見て色を感じることはできない。でも白黒の画を観ててクールだと感じるし、暖かくて素朴だと感じることもあるし、怖いと感じることもある。
遊園地に立ち上がるケムール人のシルエットは恐ろしくもクールだ。吹雪く南極の暗闇に煌々と輝かせて聳え立つペギラもやっぱり恐ろしく、そしてクール。大蜘蛛タランチュラが蠢く洋館はマジで怖い。ラルゲユウスが遠ざかる海の画は郷愁があって泣けるし、カネゴンたちが闊歩する昭和の風景はノスタルジックで素朴な感じがして好きだ。
白と黒で描かれたウルトラQの世界は、味があって色んな感覚を呼び起こしてくれる気がしている。モノクロ作品も食わず嫌いせずに見てみると、案外ハマる人がいるかもしれない。
余談になるけど、ウルトラQの撮影では 雲・煙に赤い色をつけてたりしたそうな。。(確かウルトラarchiveで見た)
「東京氷河期」で黒い雲の中に飛行機が突入していく特撮シーン。この黒い煙には濃淡があって、真っ黒な雲・中くらいの濃さの雲・白めの雲なんかがあったと思うんだけど、この濃淡(奥行き)を出す為に中くらいの濃さの煙は赤色にしていたというのだ。
結果白黒の映像になるにしても色のこだわりというのは凄いんだなって思わされた。