【選んだ理由】
言語学が専門の友人のすすめで


【内容】
人間が世界を認識する際、ことばが唯一の手段である。それゆえ、ことばの構造や仕組みが異なれば、認識される対象も当然ある程度変化する。日本語のと西欧のことば、特に人称語の構造を比較することで、世界認識の差を探っていく。日本語では自己を相手によって規定する、すなわち相手がないと自己が規定できない。一方で西欧語では、自己は会話での話し手であり、相手に依存しない。これは日本が自己を対象に没入させ、自他の区別を超越する文化であるのに対し、西欧が観察者と対象を区別する文化であることに起因しているとの主張。


【感想】
自分が漠然と疑問を感じていたことに、豊富な事例を持って解答してくれる快作。日本人が議論や主張が苦手なのは文化的なものだったのか。ただし、この本が書かれたころよりはるかにグローバル化が進んでいることから、文化を言い訳にしている暇はない。言語体系を超越していく姿勢が必要だ。氏は文化の表面だけ比べて欧米に追随することへ苦言を呈しているが、現代の日本でもその辺りは変わっていない。まだ欧米追従が終っていない気がする。欧米的なものの見方が唯一絶対ではなくなっていくのだろう。

人を人たらしめているのはことばであるが、ことばによって分断されているとも言え、その分多様性が発揮されているのであろう。ことばの成り立ちには風土気候や宗教が関係しているというが、根本は気候風土だろう。おもしれー。


* * *


当たり前だと思っていることを考察していくのは大事だなー。

★★★★★

ことばと文化 (岩波新書)/鈴木 孝夫

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