民宿という少し狭いような薄暗いような空気の透き通ったところで半日暮らした。
それは普段の仲間の意外性を発見するためでもあり、自主性というものを育むための行事でもあったため、あまり私たちに自由はなかったが、私はもう一度自分を見つめ返す気に少しだけなった。
両親のいない薄暗いアパートの一室で点滅する蛍光灯をよそに冷凍のハンバーグを温めて食べた。
それは私が怒らせたのだから仕方がないという贖罪の意識からか、それとも誰かが助けてくれるような気がしていたのかわからないが、私はテレビも何もつけず、閉めきれていない蛇口から水の滴る音を聞いていた。
何か砂でも這うような静寂の中に一瞬だけ違う音が紛れることは私の神経を衰弱させるのにちょうどよかったような気もする。
箸が食器に当たる音。水の滴る音。この空間の空気の流れ、停滞。それらを全て肌で感じることに怖気づいていたが、そのときには恐怖心なんてものは気息奄々としていた。
皿を洗って、お湯を張らずにシャワーを済ませ、質素な煎餅布団を敷いてその上に体を添える。
包んでくれるほど暖かくもないし柔らかくもない。それなら、畳の上に座って、恋をした相手に寄り添われて眠っていた方がましだった。
眠れるような気がしない。手を伸ばせば届くところにある腕時計の秒針の音がさっきの水の滴る音にかぶる。
妙な耳鳴りがする。本当に私は、なんでここに住んでいるのかわからなくなった。
そんな一瞬が頭の中を走馬灯のように駆け巡ったとき、私は自分のいる場所を改めて感じた。
明るい蛍光灯の下で、出来上がったばかりの夕食を、これから半年以上を一緒に過ごす仲間と食べている。
それはお湯でもレンジでもなんでもなく、人のぬくもりであったことを私はその瞬間に知った。
談笑しながら食べる夕食は本当に美味しかった。今まで食べたどんなコンビニ弁当よりもおいしかった。
涙で目の前のサラダが見えなくなった時に、自分の目が涙で濡れていることに気付いた。
慌てて拭うのも遅く、仲間に見つかったものの、仲間は軽蔑したりしなかった。
どうしたの、どうしたのと周りから心配されて、咄嗟に出たのが「レタスが美味しいから」。
確かにレタスは美味しかったが泣くほどではなかった。仲間がそれに笑ってくれてよかった。
仲間には知られたくない。だけど、この仲間たちは知っていてくれているような気がしてならなかった。
その時に死んでもよかったのだ。本当に、そのときに人生が終わったなら、私は幸せだったのだ。
それは普段の仲間の意外性を発見するためでもあり、自主性というものを育むための行事でもあったため、あまり私たちに自由はなかったが、私はもう一度自分を見つめ返す気に少しだけなった。
両親のいない薄暗いアパートの一室で点滅する蛍光灯をよそに冷凍のハンバーグを温めて食べた。
それは私が怒らせたのだから仕方がないという贖罪の意識からか、それとも誰かが助けてくれるような気がしていたのかわからないが、私はテレビも何もつけず、閉めきれていない蛇口から水の滴る音を聞いていた。
何か砂でも這うような静寂の中に一瞬だけ違う音が紛れることは私の神経を衰弱させるのにちょうどよかったような気もする。
箸が食器に当たる音。水の滴る音。この空間の空気の流れ、停滞。それらを全て肌で感じることに怖気づいていたが、そのときには恐怖心なんてものは気息奄々としていた。
皿を洗って、お湯を張らずにシャワーを済ませ、質素な煎餅布団を敷いてその上に体を添える。
包んでくれるほど暖かくもないし柔らかくもない。それなら、畳の上に座って、恋をした相手に寄り添われて眠っていた方がましだった。
眠れるような気がしない。手を伸ばせば届くところにある腕時計の秒針の音がさっきの水の滴る音にかぶる。
妙な耳鳴りがする。本当に私は、なんでここに住んでいるのかわからなくなった。
そんな一瞬が頭の中を走馬灯のように駆け巡ったとき、私は自分のいる場所を改めて感じた。
明るい蛍光灯の下で、出来上がったばかりの夕食を、これから半年以上を一緒に過ごす仲間と食べている。
それはお湯でもレンジでもなんでもなく、人のぬくもりであったことを私はその瞬間に知った。
談笑しながら食べる夕食は本当に美味しかった。今まで食べたどんなコンビニ弁当よりもおいしかった。
涙で目の前のサラダが見えなくなった時に、自分の目が涙で濡れていることに気付いた。
慌てて拭うのも遅く、仲間に見つかったものの、仲間は軽蔑したりしなかった。
どうしたの、どうしたのと周りから心配されて、咄嗟に出たのが「レタスが美味しいから」。
確かにレタスは美味しかったが泣くほどではなかった。仲間がそれに笑ってくれてよかった。
仲間には知られたくない。だけど、この仲間たちは知っていてくれているような気がしてならなかった。
その時に死んでもよかったのだ。本当に、そのときに人生が終わったなら、私は幸せだったのだ。