台風一過の蒸し暑い日が続いています。

 

今日は一日だけのお休みで、また例のごとく朝から音楽鑑賞。

日々の仕事で慣れているのか、暑い中冷房も付けずにひたすら大音響で音楽を流しています。

なんか体調がいいのか、暑さで代謝がいいのか、いつものように疲れてユルくAORという感じではなく、このところのアラフィフのわたしにしては珍しくハードな音楽が聴きたくなりました。

 

ということで、1000枚オーバーのCDラックを眺めて、前回のストーン・ローゼズと並んで、こちらもかなり久々にチョイスしたのが、ザ・カルトです。

今では彼らのアルバムはこれだけしか持っていない、「シングルス1984~1995」という、いわゆるベスト盤をトレイに載せました。

 

 

初期カルトの1985年のヒット、She Sells Sanctuary

 

とまあ、カルトなんですが、このバンドほど、どういう傾向のバンドなのか説明するのが難しいような、簡単なような、一筋縄ではいかないバンドも珍しいのではないのでしょうか?

初期は上の曲で何となく判るかどうかはわかりませんが、80年代UKニューウェーブ、ポジパンっぽい空気で出てきたバンドでした。

 

わたしはこの初期の「Love」というアルバム、高校時代結構好きで、U2とかキュアー、エコー&バニーメン、アラームなんかとともに、そういう系統のものとして聴いてました。

でもその中でも、ちょっとハードというか、ワイルドな感じがするというか、そんなサウンドです。

 

で、長いこと愛聴することもなく、その後カルトのことは忘れていたんですが、1988年終わり頃だったか、わたしは免許を取って、バンド活動に勤しんでいたんですが、たまたま何かの用で他のバンドの、ハードロック系のメンバーをクルマに乗せていたら、その人が彼らの1987年の「エレクトリック」というアルバムをおもむろにかけたんです。

 

それまでポリスだXTCだ言っていたわたしは、それを聴いて「かっこぇえ~!!」と衝撃を受けるとともに、ゴス系ネオアコみたいに把握していたカルトが、こんなハードロックバンドに変貌していたことに驚きました。

わたしがそれまで苦手で大嫌いだった、80年代ハードロック・ヘヴィーメタルの苦手意識を、一気に払拭出来たのは、ガンズ&ローゼズと、この時のカルトのおかげです。

 

エレクトリックから、Love Removal Machine

このアルバムは、ステッペンウルフのボーン・トゥ・ビー・ワイルドのカヴァーが有名ですが、他も佳曲揃い。

いま改めてベストで聴くと、この作品は丁度ポジパンと、ハードロックの両要素がバランスよくある感じがします。

まあハードロック寄りですが・・・。

 

そしてそれから間を開けずすぐに「ソニック・テンプル」という新作が出て、わたしが当時バイトしていたCD・ビデオレンタル店にも入ってきて、早速借りてダビングして、聴きまくっていたことを思い出します。

この作品は、ガンズと一緒にツアーを回ったとか、ガンズにドラマーが移籍したとかでもわかる通り、かなりワイルドなアメリカLA的なハードロック・メタル寄り作品です。

 

 

ソニック・テンプルから、完全ハードロックと言っていい、Fire Woman

でもやはり元80年代UKロックということから、アメリカンハードみたいな分かりやすいメタルというのではなく、ギターやアレンジに妖艶な空気を感じます。

 

 

90年代最初の「セレモニー」からHeart Of Soul

こちらもダイナミックかつパワフルなハードロックですが、なんとなく心に染みるいい曲だ。

 

ちなみに、わたしはこれを最後にその後のカルトは聴いていないのですが、このベストに入っている曲を聴くと、90年代に入るとデジタルミュージックに接近し、デジハードロックみたいな音になる感じがします。

 

とまあカルト、UKポジパンから、アメリカンハードロックという、一見全く正反対な相いれないサウンドに変化してゆくという、他にはない経歴をたどるバンドですが、でも今回こうしてベストで総括するように聴いてみると、流れに全く矛盾や断絶がなく、一貫しているのがわかります。

 

元々、ジム・モリソンばりな、野太い声で叫ぶワイルドな、イアン・アストベリーのボーカルがあり、UKニューウェーブと言ってもそもそも、他のバンドよりはかなりハードな演奏でした。

また後期ハードロックになってからも、UKビート時代にあったような、メロディー重視というのか、純粋に歌を聴かせるいい曲が多く、ゴスやネオサイケ的なメロディーセンスが一貫してあるのがいい。

 

決して、ギターの凄テクでうならせるのではなく、あくまで独特な、妖しくもワイルドな歌とクオリティーの高いプロフェショナルな楽曲にこだわっている感じがあり、今聴いても「ああ、あの時代確かにこういうの流行ってたね!」では終わらない、ザ・カルト独特の世界を感じました。

今も古いね・・・で終わらず当時のまま聴けるハードロックって、売れなくなてからのポイズンと、カルトくらいではないかと思います。

 

というわけで、年甲斐もなく、レスポールをアンプに繋いで、大音量で鳴らしたくなりました。