今わたしが店長を務める店は、自慢ではないですが、

売り上げが大変苦戦しているチョキ

 

まあこの大出版不況なご時勢、右肩上がりの店舗などないのですが、私のところは競合の影響などで特に目だって酷い。
だって、近隣に、ここ二、三年で、ツタ●はオープンするは、千坪の紀●国屋書店が出来るは、イオンに未来●書店は出来るは、対抗するモールには300坪の書店が入るは…ですよ。
それ以前の売り上げなんて維持できるわけがないでしょ!!!

 

とまあ、このままでは今月も、目も当てられない状態になりそうだ…。
 
「おまえ、どうするんだよ!!」
「毎月毎月赤字計上して、このままだと冗談じゃなくおまえ飛ぶぞ!」

 

店舗チェックに来たエリアマネージャー様のさっそく恒例の叱咤が始まる。
でもなんだか最近わたくし鈍感になったのか?、社員が、「あんなこと言われ続けて、よくマトモな精神状態が保てますね…。」と絶句していましたが、な~んとも思わない、というのは言いすぎにしても、別に激しく落ち込むという事もない。

 

だって、去年、おととしと比べ、どれだけ競合が新規出店してるのよ~?
どう考えても昨年ベースクリアーする訳ないでしょ~、と思うのと、あと何度も言っていますが、やれるだけのことは精一杯やってる!
これでダメならもう悔いはない!! どうでもしてくれ!と言う他はない…。

 

まあ、私の最後のプライドというか、常識として、競合があるからどうこう…、という言い訳はしていない。
でも、売れ筋商品が他と比べ大きく欠品している事実は、データー上見受けられないし、ものすごいマメな追加もかけている。
アイテムも以前に比べ確実に増えてるし、それだけ多くのお客様に機会提供は出来てるはず。
誰がどう見ても、売り場に決定的な問題があるとは思えない。
そう軽く反論をしてみました。

 

するとエリア長、そう言うならと早速売り場を細かくチェックし始めました。
私は売り場も、展開もそれなりに出来てるという、強い自負があったので、何も恐れる部分はなかった。
実際エリア長もひと通りチェックを終え戻ると、「確かに大きく問題とか、欠品が多いということはないなぁ~」と弱々しく言った。

ほれみろ!

問題は外的要因じゃないか!!

 

しかし、エリア長は、続けてこんなことを言い出しました。
 
「まあ確かにこれといって問題はないんだよな。商品もそろってるし…、他の店はもっと欠品してたりガタガタだったりするしなぁ~。
でもさ、何というのかな…
お前の作る売り場って、簡単に言うと可もなく不可もないっていうのかな?
 
例えばA店の店長はさ、お前に比べたらビックタイトル切らしてるとかさ、A級がないとかさ、そういうの多いけど、ものすごい意外なヒットを前もって仕掛けてブレイクさせたとかさ、 そういう攻めの才能が沢山あるんだよな。
お前は売れ筋あります。これもあります。きちんとしてますってだけ。
他のヤツほどマイナスとか、致命的なダメさもない代わりに意外な面白さとかさ、うっとおしいぐらい前面にアピールするようなずうずうしさって言うの?
 
そういうさ、何というのか、おれの売り場を見ろ~!買え~!っていう、迫り来るもの、飛びぬけて良い部分というのもないんだよ!!
地味と言うかさ…、無難で遠慮がちで行儀の良すぎる売り場なんだな…。」

 

 

なんとまあ、ひどい! ひどすぎる!!

 

でも確かに、可もなく不可もなく、というのは、自分でも内心そうかもなぁ~、と実は思う…。
普通の会社員している今だからこそ、こう言われても、素直に「そうかもなぁ~」って言えますが、本当はこれ、一番人に言われたくない言葉ですよね。

 

たまに本人自覚のない、根っからの奇才みたいなヤツっていますよね。
自分は確かに、そういうのとは違って、平凡な人間だと言う自覚はありますよ。
そういうやつに出会って衝撃を受け、思わず手法を自分なりに真似しても、私の中を通過し出来上がると、おとなしく品の良い作品に結局落ち着くんですね(笑)
特にバンドマン時代は、悔しいのでみじんも態度には出さなかったけれど、自分は天才ではなく平凡で、実は作品で人を楽しませたり、人生を変えたりできる才能って、さほどないんじゃないかと内心は思っていました。

 

私の好きなドアーズの歌に、 Break on through to the other sideというのがありますが、意味が現状とあってるのかわからないけれど、なんかこれを思い出します。
今も昔も、私に一番足りないのはこの、「異次元に突き抜けろ!!」という姿勢かもしれない。
これを思い切って今こそ実践すべし!と言うことか…。

 

でも言うのは簡単ですが、そもそも平凡な自分には、そのスタンスで攻めるのは非常に苦しい。
わたしはジム・モリソンやジョン・レノン、ジミ・ヘンドリクス、ジョニー・ロットンなどとは、根本的なタイプが違うのである!
はぁ、なんだか泣けてくる。
 
そういえば先日、ある経済誌を読んでいたら、
これからの時代は正社員も安心できない。30代からでもリストラがありえる。

 

みたいな記事がありました。

 

そうならない為の対策として、「こいつは破天荒なヤツ、うるさいやつ、めんどくさいヤツ」と思わせること。
可もなき不可もなきおとなしく平凡な人間は、真っ先に候補になりかねない、などという対処法が書いてあった。

 

なんだか、最近の日本は、どんな論調見てもこのように、普通の人はダメみたいな言われようです。

 

でも長い目で見ると、平凡、普通を嘲笑し、蹴落とすような社会って、絶対いい結果は招かないと思いますけどね。