前回は、古いロックでもどちらかといえば、POPな歌モノが好きな自分としては珍しく、非POPでアヴァンギャルドな作品をご紹介しました。
その時の自分の気分にはなんとなく合っていましたが、ちょっと名盤というにはマニアックすぎた気がしないでもないので、今日は似た傾向の音楽で、もう少しとっつきやすいのかな・・・という作品をご紹介したいと思います。
こちらはわたしがずっと好きなバンドで・・・、でもこういうのも好みということは、前回紹介した特殊なサウンドも、本来は嫌いではなかったのかもしれないなとか思ったりしますが・・・
パンク後の1980年前後のU.K.ポストパンクの、今では割と有名な、
Joy Divisionの1979年のファーストアルバム Unknown Pleasures
ジョイ・ディヴィジョンは、後にそれなりにビッグになる、「ニュー・オーダー」につながるグループなので、UK好きな方にはそこそこ名は知れたグループではないかと思います。
音楽は聴いておわかりでしょうが、典型的なUKポストパンクの80年的、ギター・ニューウェーブ・サウンドだ。
ザ・キュアーとか、ザ・スミスなんかのハシリの音という感じ。
最初にこのバンドの紹介するガイドを見たとき、この「アンノウン・プレジャーズ」が名盤と紹介されていて、「いわゆるネクラ音楽・・・」と書かれていました。
でも聴いてみた感じは、確かに明るさとは対極のネクラサウンドですが、そんなに暗い音楽という印象はなく、どちらかといえばダークでひたすらドライなサウンドという感じがします。
決して気分や心が暗く落ち込んでしまう音楽ということはない。
ギター、ベース、ドラムスという、基本人間が演奏するアナログな編成なのに、無感情というか、人間味のあまり感じられないサウンドなところが面白い。
演奏力も目を見張るとか、決して衝撃というものではなく、ハッキリ言ってちょいヘタというか、それなりにライブをこなしたアマチュアバンド程度みたいな演奏だ。
それなのに、まるで機械のループ音を聴いているような、不思議な気分になる。
特にこの次のセカンドにしてラストアルバムの「クローサー」は、よりそのような傾向が強い気がします。
でも不思議と惹かれるというか、愛聴してしまう音楽で、単調なフレーズの繰り返しみたいなのと、低く唸るともつぶやいてるともとりにくい、独特のボソボソしたボーカルが、どうにも中毒性を与えてくれるらしい。
このジョイ・ディヴィジョンの、いかにも病弱そうで文学青年的なボーカル、イアン・カーティスはなんとセカンドアルバム発売前後くらいに、自殺してしまいます。
突然バンドの顔を失った残りのメンバーは、ニュー・オーダーと名前を変えて再出発、その後世界的な成功を収めることになります。
わたしはニュー・オーダーは、このジョイ・ディヴィジョンの影響を引きずっていた、初頭の曲は好きですが、次第に電子音が幅を利かせるエレPOP風サウンドになってゆくに従い、あんまり面白く感じなくなってきて、後の曲ほど聴きません。
とまあ、このジョイ・ディヴィジョンは、このファースト、セカンドともに今でも珍しく、UKポストパンクバンドではよくかけるバンドです。
ポストパンク後のわたしの3大バンドとして、XTC、エコー&ザ・バニーメンとともに、イチオシのUKバンドだ。
それほど気分がのってなくて、疲れてボーッとしてたい時とか、ホント最高のバンドだと思います。